爆豪勝己の偽彼女【爆豪勝己】 (ページ9)

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□スタートラインページ9

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『な、何するんですか！？』

「何ってキスだろうが」

彼の態度には、女子への遠慮が全くない。

やはり腹黒王子…

あの場から逃げるように王子に腕を引っ張られ、普段はあまり、というか朝なら絶対に人がいないであろう、特別塔へとやってきた。

読み通り、人っ子1人いない。

『じゃなくてなんでキスを！？』

「んなモン、テメェが言いふらす可能性"大"だからだろうが、だからこうすりゃテメェも弱み握ってんだよ」

____言いふらさないって言ってんじゃん！

無愛想で粗暴で他人のことを一切考えていない、彼の行動は文字通りのクソ野郎だった。

「そこでテメェに提案だ」

『提案？』

もう嫌な予感しかしない。

Aは心の底からそう思うが、王子と2人っきりという状況にほんの少しだけどきどきしていた。

本人は分かっていないが。

「俺の偽彼女になれ」

『……え？』

………は？

頭が真っ白になる。

風の音が廊下から浸透し、Aの耳に入り込む。

「あんなキスまでしといて、イヤですなんか言ったらテメェどうなるか分かってんのか？…クソ共に叩き潰されるぞ」

クソ共…

恐らくファンクラブの子や、彼を好いている女子生徒たちのことだろう。

Aは驚愕に染まるしかなかった。

「偽彼女すれば、テメェの安全も保証される、それに俺の面倒ごとも減る、WIN-WINだろ」

____なるほど。女よけ。

彼にとってメリットがなきゃこんなことしてくる訳がない。

本当に女子に興味がないんだこの人。

Aは冷静になった。

もし、断ったとて十中八九、ファンクラブの人たちからのいじめは100%くる。

王子と偽交際する方が、守ってもらえる。

ならば、

『分かりました』

ケンカごとが嫌いなAはそれを選ぶしかなかった。

「交渉成立」

彼はとても愉快そうに笑う。

自分で蒔いたらしいこの状況。

もしあの曲がり角を曲がっていなかったら？

こうなっていなかった？

____いや、これは運命だろう。

どうやら私は彼から逃げられそうもない。

ここから私と彼の青春フルコースが運ばれてくる。

……まずは、

「……爆豪勝己………私の…私だけの王子様…」

前菜だ。

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