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なんなのアイツ。
私が爆豪くんを好きなわけないじゃん。
何考えてんの？
第一、Aの彼氏だし。
百合が大股でズンズンと歩く。
2人を探してキョロキョロ見渡すも、なかなか見つからない。
近くにいると思ったが、もしかしたら、
___入口の方まで行ったのかも
勘が働いた。
向きを変えて、入口の方を目指す。
爆豪くんを？腹黒王子を？
ないわー。
透目に言われたことを思い出す。
『なら今日そんなに落ち込んでる顔してんのはなんなん？』
特に理由はない。
そんな顔をしていたつもりもない。
『爆豪くんが自分に構ってくれないから？』
そんなわけない。
自分に構ってくれなくたって全然平気だ。
勉強を教えてくれたのは、Aのため。
私はオマケ。
誕生日のこと聞いて来たのも、Aのため。
でも……
あの時、爆豪は意外と律儀で、お礼の市販のクッキーをくれたのだ。
____いいや、
そんなわけない。
彼女の友人を大事にしたいだけだ。
優先されてるのは、A。
好かれているのはA。
なら、私は_______
「爆豪く…」
爆豪の後ろ姿を発見した。
声をかけようとする。
けれど、
「…………」
その場に荷物を落とす。
ドサっと音が響く。
___ああ、素敵なカップルだ。
心の底から思った。
2人が抱きしめ合っている。
公然の場で。
それほど2人の愛は強いのだろう。
「_____いやだなぁ、こんな私」
百合の言葉が壁に吸収され、消えていく。
一つの涙が床に落ちた。
『息抜きしたいが2割、Aちゃんが心配なのが3割、爆豪くんに会えるかもっていう期待が5割やろ？』
透目が言っていたことが本当のように思えてきた。
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作者名：おにぎり。
| 作成日時：2021年9月5日 12時
