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「ヤローの話なんかすんなや」
パッと手を離す。
かすかに名残惜しかった。
いきなり爆豪が不機嫌になる。
『なんで』
いきなり来といて何怒ってんだ。と言ってやりたいが、飲み込む。
『帰ってくるの明日じゃなかったの？』
「俺がいつ帰って来ようが勝手だろうが」
_自分勝手
『ねぇ、戻ろうよ、感じ悪いじゃん』
爆豪からの返答はない。
返事する気ないのか。
『ねぇ、なんで怒ってるの？』
「怒ってねぇよ」
『怒ってるじゃん』
「怒ってねぇつってんだろ」
『柳君のこと嫌いなの？』
「どうでもいい」
『ねぇってば！』
振り向かない爆豪の前にAが立つ。
仕方なく爆豪は立ち止まる。
『サプライズかなんかしたかったのか知んないけど！今日帰ってくるって知ってたら私だって出かけなかったわ！それをいきなり来て駄々こねた子供みたいにぃ〜！！』
爆発するA。
『側から見たらヤキモチ妬いてる人みたいだけど！？恥ずかしいからやめ…』
『な』と言う前に一種の締め技みたいなバグをされた。
『いだダダダ！！ちょ、なに！？』
「ヤキモチなんか妬いてねぇわ！」
『やっぱ、怒ってるじゃん！』
ただの馴れ合いに見える。
行き交う客はくすくすと笑う。
「テメェ……」
「先帰れ」
『え？』
「後から追う」
流石にこれは___
『え、やっぱり怒ってる？』
「怒ってねぇつってんだろ、早よ行けや」
Aから身を離す爆豪。
一種の締め技から解放される。
『……本当に怒ってない？後から殺すとか』
「しねぇわ！」
一刻も早く立ち去ってほしいのだろうか、爆豪は必死にAを追いやる。
『分かった、あ、柳くんと百合に会ったら帰ったって言っといて』
「会ったらな」
釈然としないまま、Aはその場を離れる。
首を傾げ、
___あれ、顔赤かった？
爆豪の顔が微かに赤かったかもと思い直した。
・・
Aと別れた爆豪がその場の近くの椅子に座る。
うつむき、手で口元を隠し、誰にも見られたくないというオーラを全開に出している。
「………マジかよ」
その顔が真っ赤だった。
信じられないほどの動揺を露わにして、ため息をつく。
まるで、何かに気が付いたかのように。
少し離れたところから、その姿を見つめているものがいた。
「…………」
彼女もまた、何かに気が付いたようだった。
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作者名：おにぎり。
| 作成日時：2021年9月5日 12時
