□爽やか王子vs腹黒王子 ページ45
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「出かけただぁ？」
「はいっ！」
D組の寮にやってきた爆豪を出迎えたのは、Aの女子クラスメイト。いつもよりも声を高くして、完全に乙女モードだ。
「今人気の水族館行くとか言ってました！百合ちゃんも一緒に！」
「どこの水族館だよ…」
舌打ちをする爆豪。
「あ、あと､､爽やか王子も一緒でした」
「……あ"？」
・・
『魚、綺麗だねぇ、百合』
水中トンネルへとやって来たAたち一行。
エイを下から見れたり、アンチョビの群れを見たりと、海の青さを感じた。
『百合？』
いつまでも返事が返ってこない。
Aが再び名を呼ぶと、ハッと我に帰り、
「ごめん、ごめん、何？」
誤魔化すように口を開いた。
少し違和感を覚えたが気にしないことにした。
「Aちゃん、楽しい？」
『え』
透目が突然に口を開く。
「なんか、考えてるような顔してるから」
『やっ、楽しいんだけど…百合がなんか悩んでるっぽいのが気になって…』
百合から少し離れたところで水槽を見ながら話す2人。
ちょうどカクレクマノミが横切る。
「…百合ちゃんな」
『大丈夫かな…』
「1人で思い詰めんのは良くないからな」
___案外良い人だなぁ。
ただの爽やかに見せかけたチャラ男だと思っていたが、そうではないのかもしれない。
『柳くんは楽しいの？なんか付き合ってくれてるっぽいけど…』
「…ぷはっ」
彼は突然に笑いだした。
何故笑っているのかが分からないAは？を頭に浮かべるほかない。
「Aちゃん鈍いな〜」
なんだか馬鹿にされている気がする。
「Aちゃん」
笑顔を浮かべ、切り出す。
「普通、男にこんなとこ誘われたら貴方のこと気になってます以外ないやろ？」
『………え』
どうやら百合の言った通りらしい。
気があるのは確かだった。
「百合ちゃん、移動するで」
Aが硬直している間、透目は百合に声をかけに行った。
Aの足はなかなか前に進まない。
なぜ躊躇うのか。自分でも分からない。
と、透目が近寄って来て、Aに手を差し伸べた。
完全なるエスコート。
これはもう考えなくてもわかる。
「………」
その時、透目が何かを見つけたふうに、Aから視界を外す。
つられてAもそちらを見る。
『え』
思わず声が出た。
そこには______
「爆豪くん！？」
百合が代表して言った。
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作者名：おにぎり。
| 作成日時：2021年9月5日 12時
