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「行くぞ」
ガシッ。岩の如き掴み方。
痛いったらありゃしない。
それでも、力は徐々に弱まって来た。
『え、あ……うん』
絡んできた男2人を気にしながら、前を向いた。
「偽彼氏くん、彼女さん嫌がってるじゃん？」
男の1人がそう言った。
Aが戸惑いの表情を浮かべていると、爆豪が大股でAのことも離さず、ずんずんと男2人の方へ歩いて行く。
爆豪が男2人を見る。Aは爆豪を見る。
「誰でもいいわけねぇだろうが、バーカ」
___初対面の人にこれだよ…
流石腹黒王子…
悪い意味でAは褒めていた。
男達は呆然としてその場に立っている。
爆豪は無言でAをひっぱり、メリーゴーランドから離れようとする、Aも一つ会釈をして離れた。
「…………」
『…………』
とりあえず礼を言いたかったが、ここで自分から切り出せば仕打ちが来そうでわからず、黙っているしかなかった。
そんなAの心情を読み取ったように、
「取って食いやしねぇよ」
彼なりの優しさが出ていた。
『え、あ…あの…ご、ごめん…』
そんないつもの爆豪の様子に安心したAが口を開く。
「あ？」
何に対して謝ってんだよ。と言いたげな顔で爆豪は見つめる。
『ば、爆豪くんにはもっとふさわしい人いるとか言って…』
Aがそう言った途端、爆豪が口を開く。
その時、
「ハハッ！みんな楽しんでいるかな！？これからパレードの開幕だよ！」
甲高い声、愛らしい見た目。
ネズミーランドのマスコットキャラクター"ネズミーくん"
だ。
客が一斉に押し寄せる。
客に囲まれて、2人で話すどころの雰囲気ではなくなってしまった。
『あ、そうだ！観覧車行かない？2人きりで話したいし…』
「あ？」
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作者名：おにぎり。
| 作成日時：2021年9月5日 12時
