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『あっ！メリーゴーランド乗ろうよ！メリーゴーランド！』
「あ？ンな幼稚なモン誰が乗るか」
無事回復し、メリーゴーランドのあるエリアへとやって来た。
爆豪はベンチに大の字になってくつろいでおり、Aがせっかくの機会にと誘うが、爆豪は面倒臭いと乗り気でない。
だか、ハイテンションなAはめげない。
『だと思って…』
Aはニッと笑ってみせた。
『ファーストパス取っておいた！』
メリーゴーランドのファーストパスを2枚見せびらかすAに向かって、爆豪は猛獣の如く吠えた。
「用意周到すぎだろテメェ！！」
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「2人用のカップル席しか空いてませんがよろしいでしょうか？」
なんと他にファーストパスを取っておいた客たちで1人席は埋まってしまったらしい。
ネズミーランドの名物の一つ、2階建てメリーゴーランドはいつでも人気があるらしいのは本当だった。
『えー…あー…どうしようか？』
チラッと爆豪を見て問うた。
__カップル専用の席に私たち偽カップルが乗るのか。
そんなの苦痛で仕方がない。
しかも周りの目が気になるところだ。
今まで気にしないようにしていたが、腹黒王子と自分じゃあ、天と地の差がありすぎる。
他にも良い相手はいるのではないか。
どうせ、彼も乗る気でないのだから、ここは断って____
「乗る」
_____え
予想の斜め上を行き過ぎた爆豪からの問いに思わず思考回路が停止する。
「かしこまりました！ではコチラヘ！」
訓練された良い笑顔でスタッフさんは応える。
Aは内側に、爆豪は外側に座った。
ネズミの形をしたソファ型の2人席。
___どういう状況？
『ば、爆豪くん？なんで乗ったの？』
「……あのクソ店員が乗らなかったら嘲笑う気がしたからだわ」
………なるほど。
いくら訓練されたネズミーランドのスタッフでも人間は人間。
そういう部分が出てしまっていたのだろうか。
『あの……爆豪くん…………』
ガタンとメリーゴーランドが動き出す。
徐々に加速していき、皆が良く乗るメリーゴーランドの速さになった。
夏の風が心地よい。
けれど、そんなことより、ずっと聞きたいことがあった。
『私が爆豪くんの彼女じゃないといけない理由ってなに…？』
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作者名：おにぎり。
| 作成日時：2021年9月5日 12時
