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『わああ！！』
この時だけはワクワクとした気持ちが溢れ、思わず叫ぶ。
陽気な音楽、客の高揚した話し声。
テーマパーク内はみんなのハイテンションでぱんぱんに膨らんでいて、すごく賑やかだ。
ネズミーランド。
通称、夢の国。
現在、夏ということもあり、水を使ったショーやイベントが開催されている。
『爆豪くん！何乗る！？』
「はしゃぎすぎだろ」
『今日はしゃがないでいつはしゃぐの！？』
Aは入場プレゼントとしてもらえるネズミの耳がついたカチューシャを爆豪に手渡した。
「ったく、くだらねー」
爆豪はそれを祓う。
『くだらないことを楽しむのがいいんだよ！！』
Aはめげずに突き出した。
「ケッ」
全身から不機嫌オーラを撒き散らしながら、爆豪は前へと進んだ。
辿り着いたのはスプラッシュタワー。
皆が良く知る、水が最後にかかるやつだ。
『わくわくするね！』
「ぜってーテメェ怖がる」
トロッコが動く。
小さなタイヤで敷かれたレールの上をゆっくり走りだした。
周りにはテーマにあった動物たちが話をしている。
どうやら物語形式のようである。
『なんか思ったよりスプラッシュしないね』
「急にグンっとくんだよ」
爆豪がニヤリとした。
愉快そうな笑みでAを見る。
盛大なネタバレを受け、少しショックを受けた。
『そうなの？』
「もう来んじゃねぇか」
カーブを曲がり終えると、のろのろと直進した。
奥からは光が見える。
と、物語の主人公と思われるウサギが縄で縛られ、クマやキツネなどに持ち上げられていた。
ウサギは「やめてくれ！落とさないで！」と命乞いをしている。
そんな光景に見惚れていると______急激な加速。
『……ッ！？』
ビックリして声にならない悲鳴しか出てこない。
飛行機が飛び立つ時くらいの威圧感。
景色が流れていく。
座席越しに感触が伝わってきた。
落ちる。と。
みるみる近づいてくる地上。
そのまま、
バッシャーン！
と水に飛び込んだ。
どの座席に座っていても、乗客は皆濡れていた。
「…まあまあだな」
動画でしかアトラクションの感覚を知らなかった爆豪が呟く。
『死ぬかと思った…』
Aは顔面蒼白だった。
危機一髪の状態から一気に解放され、緊張の糸がほぐれた。
「……マヌけ面」
爆豪の機嫌が良さそうな姿が目に映った。
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作者名：おにぎり。
| 作成日時：2021年9月5日 12時
