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「A、やっぱなんかあった？」
修学旅行だというのにイマイチテンションの高くないAを心配して百合が話しかけてくる。
____何もないよね…？
__私の勘違いだよね…？
『百合、あのさ…』
「百合〜！A〜！」
前の席に座る五十嵐ちゃんが飴玉の入った袋を持って身を乗り出す。
「前から回ってきたよ」
「ありがと」
『ありがと…』
受け取り、一つずつ取りだす。
「ね、2人は修学旅行でなんかしちゃう？」
『なんか…？って？』
「告白とか」
「『えっ！？』」
恋バナが始まった。
「なんか告白する子多いらしいよ？Aも王子に会ったら？」
『う、うーん…』
__爆豪くんそういうの嫌そうだからなぁ…
なんとも言えない返事を返し、先程の会話は途切れてしまった。
「百合もどう！？いないの好きな子！？」
「いやぁ、いないからなぁ」
___いないん……だ…。
じゃあ、やっぱりあれは私の勘違い…だったんだ………
__よかった……
「百合の彼氏だったら白王子とかじゃないと許せんなぁ」
「ね！それ！」
恋バナに反応した佐藤ちゃんもが身を乗り出す。
白王子とはA組の轟焦凍さんのことだ。
「いやいや〜」
盛り上がる一方で百合が苦笑いする。
と、その時、ブーッ！とAのスマホが鳴った。
『ごめん』
マナーモードになっていなかったと謝る。
___電話だ…
着信音が電話の際のものだった。
誰からかかってきたのかも見ず、
『はい、もしもし』
電話に出た。
「オイ」
『…ばっ……！？！？』
スマホから耳を離す。
あたふたしている様子を見て、全員が察した。
相手は彼氏だと。
『な、っなっに！』
声が裏返る。
「テメーどこ行くんだ」
『えっ、あっ、大通公園』
「そーかよ」
彼の声が耳元で感じる。
ちょっと照れる。
＿＿でもなんで行き先確認？
『行き先別だもんね』
周りはニマニマしながら見守る。
＿＿＿＿百合を除いて。
「良いかよく聞けクソ」
__彼女にクソかぁ…
『うん』
「会いに来い」
『え』
ブツっと電話が切れた。
ぽかんとしながらスマホを見つめるAを見た佐藤ちゃんが
「なに！？なんて言われたの！？」
大はしゃぎしていた。
『会いに来いって…』
Aが声に出した途端、五十嵐ちゃんも一緒にハイテンションになる2人。
「…………」
話を戻すのは難しいと考えた。
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作者名：おにぎり。
| 作成日時：2021年10月23日 11時
