□修学旅行 ページ28
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『うわーっ！すご！』
と、隣で爽やか笑顔を浮かべる透目。
飛行機の中。
すでに飛び立ち、上空へ。
『とっ、透目くんは初めて？飛行機』
「いや、何回か乗ったことあるよ？」
たわいもない話をしつつも、Aは動揺していた。
なぜ、透目と隣の席なのか。
まず、第一に、ジャンケンに負けたこと。
隣のクラスが奇数ということで1人余る。
そこでAたちのクラスの中の1人が隣のクラスの誰かと席が隣になるということで、Aがジャンケンに負けたのだ。
席に着くなり、地獄を見た。
周りの女子からは妬まれ、大変だ。
透目がCAが配ってくれたコーヒーを飲む。
CAでさえもきゅんとして、隣のAを見て一気に冷めていた瞬間をAは忘れない。
「Aちゃん、」
『なに？』
「寝たかったら俺の肩使っていいからね？」
『いや、使わない』
「使ってくれたらいいのに」
『いやいや…』
彼の言動に思わず笑う。
なんというかアホらしいのだ。
「そういえば、この前言いかけたことなんやけど、」
『この前？』
透目が話題を変える。
先程のくだらない会話はおそらく場を和ませるためにしただけのものだとAは気がついた。
つまり、今している話が本題ということ。
「修学旅行行く前に言ったことだけど、覚えてへん？」
『3週間前のことはなぁ…ごめん…』
「じゃあ、あらためて話すわ、」
にこやかに笑う透目。
「爆豪くんと付き合い始めてなんか起こらんかった？」
『え、あー…起こってないなぁ…』
偽の方はいろいろ起こったが、今は特にない。
「身近なことでも？」
『身近…？…』
「例えば友達とかのなかで」
『ん〜…特にないと思うけどなぁ』
思い当たる節はない。
皆、普通に接してくれるし、なんなら祝福してくれる。
「__百合ちゃんとかどう？」
透目がついに切り出す。
『え、あー、百合？百合は…喜んでくれてたよ？』
「……ほんとに？」
『なんでそんな…』
そう言いたいところだが飲み込む。
たしかに、ここ最近気になることはあった。
話しかけても上の空。
爆豪関連の話の時なんかは特別ボーッとしていたような…
それに、……爆豪を見た時の百合のあの目は_____
「…余計なお節介かもしれへんけど、百合ちゃんと話しといてほうがええで？」
『…………そー、だね』
曖昧に返事を返した。
機内放送が入り、あと10分ほどで到着するという。
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作者名：おにぎり。
| 作成日時：2021年10月23日 11時
