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「あー、いたいた、Aちゃん」
時間は11時50分。
大繁盛中の店内にイケメン声が通る。
ふいに名前を呼ばれ、振り向く。
そこには、
『柳くん！？』
透目が居た。
複数人の女子が一緒になってくっついて来ている。
女子たちがガンギマリでAを見つめる。
表情は明らかに嫉妬。
「透目でええよ」
___名前で呼べと？この状況で？
正直、逃げたくて仕方がない。
この前言われたことがチラつく。
【普通、男にこんなとこ誘われたら貴方のこと気になってます以外ないやろ？】
『と、、透目くんは何しに？』
分かり切っていることを聞いた。
「Aちゃんに会いに」
爽やか笑顔で受け応える。
その発言を聞いた女子1人が、透目の腕に手を組む。
フンっと鼻息を漏らし、
どうだ、とひけらかす嫉妬の塊。
どうやら敵対し、見せつけているようだ。
___敵じゃないですけど…
再び苦笑する。
「一緒に回らん？」
『……え、あーでも…まだ時間が…』
周りの女子の数を気にしつつも、時計を見る。
12時交代のため、あと約10分だ。
「何時までなん？」
『えと、12時…』
「あとちょっとじゃん、待ってるわ」
まだ働くから、という逃げ道は無くなってしまった。
「A、付いてく」
『百合！』
去っていく透目たちを横目で追いながら、百合が話す。
「Aちゃん！」
貴公子こと、透目が手を振る。
___帰りたい…
女子からの視線が痛い。
数十分間待ってくれていた透目が駆け寄って来る。
「百合ちゃんも」
百合をオマケのように付け足した。
百合のことを認識した女子たちが一瞬怯む。
___白川さんだ…
という表情だ。
百合は無言の圧で彼女たちを睨む。
「悪いんやけど、今日はAちゃんと一緒に回りたいから帰ってくれん？」
周りの女子振り払う。
どうやら億劫だと思っているのは本人もらしい。
驚くほどあっさりと切り捨てる。
女子たちが困惑する。
「そ、それってこの女のこと好きってこと…？」
1人の女子が勇者となる。
Aのことを軽蔑している。
じっと女子全員が透目に注目する。
透目は彼女たちに向け__
___爽やかな笑みを浮かべ無言で返した。
その表情に女子たちはハッと射抜かれる。
その隙に、
「行くでー！！」
Aと百合の背中を押し、走り出した。
______？
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作者名：おにぎり。
| 作成日時：2021年10月23日 11時
