・ ページ28
.
小刻みにローは震える。
相手が相手なら掴みかかっていたところだ。
Aは代わりに謝りたい気持ちでローを見る。
ドフラミンゴが同じことを言った際、容赦がなかったのでその心配だった。
ローはなんとか抑えてマチコの右手をさらりと握り、片膝をついて頭を垂れた。
「ご挨拶が遅れてしまい申し訳ありません。お孫さんと婚約という仲を勝手ながら結ばさせていただいています。トラファルガー・ローと申します」
そう言ってローはマチコの手の甲に唇を落とした。
まるで絵本の物語を見ているかのよう。
__おお……
マチコもAも頰を染めた。
それと同時にAは自分もされたことがないのに、と胸の奥にほんの僅かにもやりとしたものが浮かび上がった。
「もちろん、在学中は疾しいことは一切しませんし、第一生徒と教師という立場ですので許していただけるとは思っていません」
ローは手を離しながらも片膝をついたままマチコを見上げる。
「ですが、Aさんを任せていただけませんでしょうか？」
マチコは大口を開けて「カッカッカッ！」と独特な笑い声を出した。
Aとローは思わず顔を見合わせて呆然とする。
「堅苦しいのぉ、気にせんでも口出しする理由など何もない。反対なんかするわけないじゃろう」
それから、過去を見るような瞳を浮かべて、
「知っとるじゃろうが両親はこの子が7つの頃に死んでしまってのぉ、物静かでとても子供とは思えんかった。毎日一緒にいられる時はいつでも一緒にいたが、現役女将じゃったから家に1人…寂しい思いばかりさせてしまっていてな…」
ローにはその気持ちが痛いほどよく分かる。
両親に残され、世界に1人になったかのような悲しみ、家という広い空間に1人の辛さ。
話をするマチコもどこか悲しげで、重たい雲のような面持ちだった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 859人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
sahokokapi(プロフ) - ロー先生、カッコ良すぎる！！続きが楽しみになってきた(*≧∀≦*) (5月18日 23時) (
レス) @page14 id: 95ad17c84b (このIDを非表示/違反報告)
popo(プロフ) - とても面白いです。続き楽しみにしています (2023年1月24日 17時) (レス) @page50 id: b53f6e36c7 (このIDを非表示/違反報告)
kanata(プロフ) - おにぎりさん» 更新読みました！あわ、あわわ、黒髪パーマ､､､､､黒髪パーマ！？青い目！？( ` ༥ ´⸝⸝⸝))ﾑﾑﾑ、誰だ！？ (2022年12月26日 17時) (レス) @page50 id: c25e02bac7 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 一目惚れ読みです。（？）主様の書かれるロー先生がガチ好き過ぎます。え、あ、かわい。って。あと、ローとドフィのやりとりまじ面白いです。次も楽しみにしてます。 (2022年12月25日 14時) (レス) @page50 id: 9974b64967 (このIDを非表示/違反報告)
kanata(プロフ) - おにぎりさん» いえいえ！お疲れ様です、誤解解けて良かったです、闘病？も(๑ •̀ω•́)۶ﾌｧｲﾄﾃﾞｽ!! (2022年12月10日 12時) (レス) id: c25e02bac7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おにぎり。
| 作成日時：2022年10月25日 21時
