優しさに包まれて (ページ13)

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『ジン君、ここでストップがいい』

「ん？ここ？」

『星が綺麗』

ゆっくりとAさんを下ろして、2人で腰を下ろし空を見上げた。さっきよりも増えたように思える星が広がっていた。

『ふう…。』

地面にそのまま寝転ぶAさんに、慌てて頭の下に腕を入れた。

『ちょ。手、痛いでしょ』

「痛くないよ。大丈夫」

『…会いたかったです。すごく。声だけでもと思って、電話しました。。来てくれてありがとう』

グランドで寝転ぶ僕を気遣ってか、Aさんは横向きになって肩のあたりに頭を乗せた。

『って、ジン君、ここベタベタ！』

「Aさんの涙でしょ？」

『こんなに？』

「冷えて冷たいんだけど」

『えっうそ！ごめん！これ着る？』

パーカーの下はきっとTシャツしか着てないだろうに、着ていたパーカーを脱ごうとするから、急いで止めた。

「もう、着れるわけないだろ」

『あ、ちっちゃいか…』

「そうじゃなくてさ」

『？』

Aさんが風邪を引くほうが嫌だと言おうとしたけど、好きすぎるその人がまた大好きな顔で笑うから、そんなことどうでもよくなって、キスしてた。
深く絡まれば、優しく受け止めてくれる。

小学校のグランドの真ん中で。

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「ただいま」

『おかえりなさい』

リビングに入ると夕飯の匂いとその支度をしているエプロン姿のAさんが笑顔で迎えてくれた。

『もうすぐ出来るよ』

今日もお味噌汁のいい匂いがして、後ろからAさんを…

『ねえ、ジン君』

「えっ？」

急に料理の手を止め、くるっと僕に振り返ったAさんに驚く。

『ギュってして？』

少しだけ甘えてくれるようになったAさんに、僕は今日もやられっぱなしだ。僕の胸にすっぽり収まった愛おしいヌナに僕は今日も満たされていく。

fin.