[テニプリ] 氷帝にやって来たのは？ １６ 〜無敵の姫君〜

７３９．過去〜無敵の姫君とキリス〜　２ ページ22

パァン――

パンッ――

パァン――……

ボールがコートを右往左往して行きかう。
そしてそのボールを追いかけるように観客達の目も右、左、右、左と動く。

コートではボールを追いかけ、選手である美姫とキリスが打ち合いを続けている。

初めは力強いボールの打ち合いだったが、途中からどちらともなく緩急をつけ始めて先程よりは熾烈さを極めていなかった。
多分だが、どちらも”相手の様子を伺っている”という状況だろう。

キリス)はぁっ！！

バァァァン！！――

時々キリスは美姫でも打てないような強烈なパワーのボールを打つ。
突然打つことで美姫のペースを乱そうと、あわよくばそのまま点を捕ろうと考えての行動だろう。

しかし、美姫はそのボールへの対応が上手い。
突然飛んできたにも関わらず金魚すくいの要領で掬いあげるようにポーンと打ち返す。

パァン――

シュッ――

トン――

キリス)！？

キリスが打ったネットギリギリの速いボールを美姫はここぞとばかりに優しく返した。
軽く当たったかのような錯覚を覚えさせるほど滑らかにガットにボールを当てる。

そのボールはキリスが思っていたよりも前に落ちる。

キリス)まだだっ！！

キリスはそのボールを捕るべく大きく一歩を踏み出した。

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