[テニプリ] 氷帝にやって来たのは？ １５ 〜努力家少女〜

７１６．過去〜無敵の姫君の話〜 ページ48

観客Ａ)なぁ、どっちが勝つと思う？

観客Ｂ)姫さん

観客Ｃ)即答だな！

もうすぐ決勝戦が始まる。
そんな会場では何処かしこも”どちらが勝つか”という話題で一杯だった。

”姫”、”姫さん”、”姫君”等々……順調にトーナメントを勝ち進めて行くごとに彼女をそう呼ぶ人は増えていった。
今では逆に”神条美姫”という彼女の本名を知らないなんて人もかなりの数いるだろう。

観客Ｂ)だってよーまだ捕られてないんだぜ？

ツッコミを入れられてそう返す彼。

観客Ａ)ここまで勝ってきたってのに１ポイントも落としてないんだもんな

観客Ｃ)すげぇとかのレベルじゃないだろ

今のところ美姫はどの試合でも１ポイントたりとも失っていない。
これがどれだけ凄いことかテニスを全く知らない人でも分かるだろう。

今日、観戦に来ている観客の大半はほぼ美姫が勝つと思っているだろう。
それまでの圧倒的な試合の数々を見ていればそれは仕方のない事なのかもしれない。
しかし、美姫の対戦相手も十分な強さを持った人物だ。

観客Ｃ)で、そんな姫の相手はあれだろ？姫には劣るけど今大会中１セットも落としてないっつー……

観客Ｂ)キリス・ヴァレンシア

観客Ｃ)そいつそいつ！！

観客Ａ)正直言って俺はどっちが勝つか分からないな。もしかしたらヴァレンシアのほうにかなりの強者が揃ってたって可能性だってあるんだし

彼はそう言って笑うとコートに目を向けた。
その時、大歓声がコートに降り注いだ。

観客Ｂ)始まるな

この時はまだ、美姫は”幻の姫君”などとは呼ばれず、

観客Ａ)おっ……”無敵の姫君”が登場したぞ

”無敵の姫君”。
そう呼ばれていた。

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