[テニプリ] 氷帝にやって来たのは？ １５ 〜努力家少女〜

７１１．アデュー ページ43

八方塞がりの乾。
前には向日、後ろには柳生だ。

向日)なーんで逃げようとすんだよ。お前が作ったんだろ？それ

柳生)貴方は自分で飲む立場になればここまで焦るものを飲ませたというのに、罪悪感は感じてないと答えたのですね？

一歩一歩、確実に乾に近づきながらそう言う。

因みにどうでもいいかもしれないが、倒れてしまった菊丸と大石。
二人は並んで仰向けにされていた。
そして、手は胸の前で組んでおり、その手には一輪の花が持たされている。
何だかよく分からないが悲しくなる光景に見える。

それにしても一体誰が移動させたのだろうか？
つい先ほどまでは無造作に倒れていたはずなのだが。

乾)待て……！！俺が悪かった！許してくれ！！

乾は許しを懇願する。
どうしても自分で作ったその飲み物を飲みたくないようだ。

乾)あれが入ってるものなんて俺は飲みたくないっ！

自分で作ったという事は、この飲み物の材料を知っているという事。
”あれ”が何かは分からないが、彼にここまで拒否をさせるような材料が入っているようだ。

柳生)”あれ”が何だか分かりませんが、貴方にとってどうしても嫌なものが入ってるんですね。なら、尚更です

乾)！？

柳生)だってそうでしょう？貴方自身が嫌がるものを貴方は飲ませたのです

乾)や、やめ――

ガシリと乾の腕を掴むと柳生は飲み物を乱暴に乾の口に流し込んだ。

スゥッと遠くなる意識の中、乾が見たのは

柳生)アデュー

輝かしい笑みを浮かべる柳生の姿だった。

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