[テニプリ] 氷帝にやって来たのは？ １５ 〜努力家少女〜

６８９．過去〜直行〜 ページ21

審判)ゲームセットウォンバイ神条！！

その後美姫は深夜の事を心配しながらも行われた２試合を１ポイントも奪われずに勝ち進んだ。
今日、行われた試合は全部で１５試合。
そのどれもがレベルが高く、とても素晴らしい試合だった。

しかし、今日の試合を見に来た観客達が話す話題はそのどれもが美姫についてだった。

”天才が現れた”などと言われ、たった一日で姫という呼び名が完全に定着した。
試合会場のどこかしこも姫という単語が飛び交っていた。


南次郎)んじゃ！直行するぞ！！

美姫)うん

だが、そんな風に瞬く間に美姫の事が広がっているとは彼女自身、知らなかった。

試合が終わると美姫はすぐに南次郎達とともに深夜が運ばれた病院へと急いだからだ。
車の中では美姫は今日の試合で疲れたのか眠ってしまっていた。
しかし時々、寝言で”お父さん”と呟いては悲しそうに顔を歪ませた。


ガラ――

病院についた美姫達は受付の看護師から深夜の病室を聞き、向かった。

緋香里)美姫！

扉を開けるとそこにはベッドの傍に座っている緋香里の姿が一番に目に入った。
そして次にベッドで眠る深夜の姿が……
どうやら頭を打ちつけていたらしく包帯が痛々しく巻かれていた。

美姫)お母さん。お父さんは？

緋香里)大丈夫よ。ついさっきまで起きてたんだけど、まだ気分が優れないみたいで寝てしまったの

一度、深夜の顔を見た後、美姫に微笑みかけた。
そんな答えに美姫は安堵の溜息をつくと小走りに深夜のベッドへと近づいた。

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