[テニプリ] 氷帝にやって来たのは？ １５ 〜努力家少女〜

６８７．過去〜本戦開始〜　２ ページ19

美姫のボールがストレートに飛んでいった時、相手の女子プレイヤーは一歩も動けなかった。

相手)なっ……

まさかそちらにボールが飛んでいくとは思わなかったのだろう。
口をだらんと開けて転がるボールを見た。

美姫)よし。調子が出てきた

今のショットを満足そうに見た美姫は一瞬顔を綻ばせた。
そしてすぐにレシーブの位置に移動する。

まだたった一球だけしかプレーをしていない。
少しばかり相手は驚いたもののハッとして急いでサーブの位置についた。

二人が位置についたのを確認して審判が声を張り上げコールする。

相手は最初の勢いのあるサーブではなく回転をかけたカットボールを打ってきた。

ボールが横へと弾む。

美姫)フッ……

短く息を吐き出しながらそんなボールに合わせ、ネット際に返す。
サービスラインよりも前のほうでボールはバウンドした。

相手)っと！

追いついた相手は美姫がサービスラインよりも前にいることを確認してベースラインを狙って長く返した。
もちろん美姫を越してボールは飛んでいく。

美姫は自分よりもボールが後ろに行った途端に動き出した。
真っ直ぐ真後ろへ、相手に完全な背を向けて走る。

速度を緩めることは全くなく走り続け、バウンドして上がったボールが自分の斜め後ろに来た時、片足を軸にして勢いよくぐるりと回った。
回りながら上手くボールを捉え、ラケットの中心に当てた。

パンッ――

ガットに当たったボールの音はいつもよりも少しだけ高い音だった。
相手の真横を通り過ぎてコート内に跳ねた。

ボールを打ち終わった美姫は回転に身を任せるようにして二回ほどその場で回転した。

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