第1話 ページ4
・
「小石川っ。至急、落ち着くんや。ええか?お前にとっておきの情報をやる」
「なんやねんな?謙也」
「東京の方には"地味ーズ"っちゅうほんまに地味すぎる奴がおるらしい。侑士がゆっとったわ。
俺そいつらを見たことあるけどな、顔もオーラも小石川の方が一歩上っちゅう話や」
「……謙也、お前はアホか」
「な、何言うてんねん?ほんまに地味やったんやて。どこにおるかもすぐ見失うぐらいや。お前のその派手な髪い」
「それは東京もんの戦略やろがーーーーっ」
「な、」
「『俺、地味なんです〜。俺のこと誰も見てません〜』なんて言っといて結局は目立っとるお笑いの常套手段や!そんなことも忘れたんか、謙也?!
バラエティなんでもよう使われとる、『いやいや、いい加減俺らのこと覚えてくださいよ〜』なんて言って、一受けするボケやろがっ」
「そうね〜、それは確かにお笑いの基本やね」
「俺らは知名度があるから、あんまし使わんけどな。なあ?小春〜♡」
「こーら♡」
「そうや。けど知名度が中途半端な奴には効果抜群や。
その証拠にそいつら"地味ーズ"ちゅうコンビ名まである。その名は今こそ全国区や。
お笑いの町大阪も、広報戦略では東京の方が一歩上やったわけや」
恐るべし地味ーズ……、と唾を飲む一同。
小石川の言葉にあの白石でさえ納得せざるをえなかった。
そう。ここにタンキー・ヤネンの恐ろしさがある。
タンキー・ヤネンに取り憑かれた人間は、単に不条理な事を無茶苦茶な話として言うわけではない。
しっかりとした理論。
反論出来ないような主張。
全員が納得してしまう程の圧倒的な饒舌さ。
そんなだからこの暴走を止めるのは大変厄介なことなのである。
「このまま何もせず小石川が変わっていくのをただ見てるだけでええんか……っ。白石!」
「そんなんゆうても……なす術なしやっ」
白目をむき出しで、ただただ唸りながらもがき苦しむ小石川。
そんな姿は例えるならそうーーゾンビのように。
今まで共に戦ってきた仲間、小石川。
例え目立っていなくとも、共に試練を乗り越え、喜び苦しみを分かち合ってきた大切な仲間であるのだ。
そんな彼が今、自分自身を見失いつつある。
「くそぉ、小石川。戻ってこいや」
盟友のその姿に彼らはどうすることもできず歯を強く噛んだ。
・
17人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かの(プロフ) - ぶどう大福さん» 健ちゃん無事自分の位置づけ見つけれたみたいでよかったです(笑)次の更新も頑張ってくださいね(^^) (2017年8月31日 22時) (レス) id: 31bd09a655 (このIDを非表示/違反報告)
ぶどう大福(プロフ) - かのさん» かのさん、ありがとうございます!第2話以降は違う人がメインになりますがよろしくお願いします。健ちゃんそこそこ男前なのに四天宝寺の小説にはほとんど出てこないんですよね笑。私もたまに忘れますし。だから今回は思いっきり主役になってもらいました! (2017年8月30日 20時) (レス) id: 8003f78c4a (このIDを非表示/違反報告)
かの - 面白かったです〜!健ちゃんメインのお話ってあまり見かけないので新鮮で思わず笑っちゃいました(笑)更新楽しみにしてますね |ω・) (2017年8月5日 17時) (レス) id: 31bd09a655 (このIDを非表示/違反報告)
ぶどう大福(プロフ) - 曉月海さん» まさかこんなに早くそのようなコメントを頂くとは思ってもいませんでした。本当に嬉しいです(;o;)ありがとうございます!!更新はゆっくりになると思いますがご期待を裏切らないように頑張りますね。 (2017年7月31日 0時) (レス) id: 5d84582f83 (このIDを非表示/違反報告)
曉月海(プロフ) - もうすでに面白いです!お気に入り登録も評価もさせていただきました。頑張ってください (2017年7月30日 18時) (レス) id: c539bfe6f3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぶどう大福 | 作成日時:2017年7月30日 15時