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159話 ページ11

次の日、不安な顔持ちで知念は俺と雄也の家にやって来た。
大きなお腹を抱えて。

「雄也……」

「あー!知念!やっと会えた!」

そんな知念を優しく両手を広げて受け止める雄也。
雄也のその笑顔はホンモノですか?
少し心が痛くなった。
だけど、雄也は無理はしないって俺たちと約束した。

雄也を信じて。

少しの沈黙。
俺と薮ちゃんとひかはふたりを見守ると決めていた。
先に口を開いたのは雄也だった。

「…お腹、大きくなったね」

「…うん」

「触ってもいい?」

「…触ってやって?」

雄也がそっと手をお腹に置くと
知念はそっと目を閉じた。

「もうすぐ会えるね」

「うん」

「知念と山田どっちに似るかな?」

「どっちだろ…女の子って言ってた」

「女の子か!」

雄也は自分のことのように喜んだ。
性別のどっちがいい、とかじゃなくて
きっと、きっとふたりの子なんだろうから可愛いに決まってる。

もう性別が分かるくらいにまで大きくなってたんだ。
雄也が立ち直るまで随分と時間がかかったんだと改めて感じた。

「じゃあ、桜の靴下買ってて正解だね」

「ほんとだね」

あ…知念がやっと笑った。

産みたい、けど産めない。
せっかく僕と涼介のところに来てくれたのに、
ごめん、ごめんね。

エコー写真を握りしめて泣いてた知念。
赤ちゃんが足を通さないのに買った桜の刺繍が入った靴下。

あれから8ヶ月。
色々目まぐるしく変わった環境。
一生懸命付いてきた知念はもう立派なお母さんだと思う。

「元気に生まれて来いよ」

雄也は知念のお腹に優しく口付けた。

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Maori - 初コメ失礼します。このお話の続きはありますか?どうしても続きが見たいんです。よろしくお願いします。 (6月18日 10時) (レス) id: 5d5d467a0f (このIDを非表示/違反報告)
らずり(プロフ) - 初めてコメントします。こちらの作品がここ数年内に出会った中で1番大好きなお話で、今まで何度も読み返しました。久しぶりに更新されてとても嬉しいです。続きも楽しみにしております。 (2020年5月19日 18時) (レス) id: fdb0262007 (このIDを非表示/違反報告)
えはと(プロフ) - つなぐ。さん» 思い出してまで読んでくださったんですか!ありがとうございます!幸せな雄也さん見れるまで少々お待ちくださいね (2019年7月28日 14時) (レス) id: e291ea7c47 (このIDを非表示/違反報告)
えはと(プロフ) - 玉響さん» ありがとうございます!まだまだ続くとは思いますがありたかを応援してあげてください (2019年7月28日 14時) (レス) id: e291ea7c47 (このIDを非表示/違反報告)
えはと(プロフ) - A-yuy-Aさん» なかなか幸せにしてあげれてないですが、いつか必ずにこにこの雄也さんが見れるはずなのでそれまでよろしくお願いします!私も弱ってる雄也さん好き… (2019年7月28日 14時) (レス) id: e291ea7c47 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:えはと | 作成日時:2019年6月16日 15時

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