150話 ページ2
雄也はしゃくりあげながらお腹に手を置いた。
「天ちゃん、
ちゃんと天国行けたかなぁっ？」
「行けたよ、きっと」
雄也を抱き寄せて、首筋に顔を埋めた。
久々に感じた雄也の匂い。
「雄也。ありがとうな。
ごめんな、守り切ってやれなくて」
「大貴悪くないっ」
「そうじゃない、そうじゃなくて」
なんて言えばいいのかわからないけど
何もしてあげられない自分の不甲斐なさと
あの時、何か別のことをしてあげられたら
天ちゃんは助けられたんじゃないか、なんて
取り留めのない後悔が
胸の中で渦巻いてて…。
ずっと、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
だから雄也の望んだことはできるだけ
これから受け入れていこうという覚悟すらあって。
「ねぇ、大貴っ」
「なに？」
「俺さっき、結婚したくないって言ったけど
本当はしたくないわけじゃないの。
ちょっと待っててほしいのっ」
「うん、分かった。
他にお願い事ない？」
雄也の後頭部をふわふわと梳くと
雄也の目からまた涙が止まらなくなった。
「まだしばらくはココにいたい、
でも、大貴くんのこと嫌いになったんじゃないから、ちょっと待っててほしいだけ、」
「分かった。分かったから泣くな。
天ちゃんが心配しちゃうだろ？」
いつまで経ってもお前は変わらず
天ちゃんのママなんだよ。
泣いてばっかりだったら天国で天ちゃんも泣いちゃうから。
雄也と一緒にお義母さんの作ってくれた晩ご飯を食べて、
俺は寝かしつけた雄也の寝顔をキスをして
自分の家に帰った。
棚の上に飾っている、黄色い産着。
これは半年後、天ちゃんが腕を通すはずだった。
雄也がこれを見て、家に帰ってくるの嫌になるなら片付けておこう。
産着に手をかけた瞬間、目が熱くなった。
これ無くしたら、天ちゃんがいた証を消す気がした。
あと残ったのはエコー写真しかない。
この産着はずっとここに置いておくべきだな、って
心から思えた。
「天ちゃん、みんながいるリビングがいいよなぁ。
引き出しの中なんて狭いもんな？」
俺は写真立てにエコー写真を挟んで
傍に立てかけた。
「お前が命かけて助けてくれたママを
俺が命かけて守るからな」
俺とお前の最初で最後の約束だ。
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Maori - 初コメ失礼します。このお話の続きはありますか？どうしても続きが見たいんです。よろしくお願いします。 (6月18日 10時) (
レス) id: 5d5d467a0f (このIDを非表示/違反報告)
らずり(プロフ) - 初めてコメントします。こちらの作品がここ数年内に出会った中で１番大好きなお話で、今まで何度も読み返しました。久しぶりに更新されてとても嬉しいです。続きも楽しみにしております。 (2020年5月19日 18時) (レス) id: fdb0262007 (このIDを非表示/違反報告)
えはと(プロフ) - つなぐ。さん» 思い出してまで読んでくださったんですか！ありがとうございます！幸せな雄也さん見れるまで少々お待ちくださいね (2019年7月28日 14時) (レス) id: e291ea7c47 (このIDを非表示/違反報告)
えはと(プロフ) - 玉響さん» ありがとうございます！まだまだ続くとは思いますがありたかを応援してあげてください (2019年7月28日 14時) (レス) id: e291ea7c47 (このIDを非表示/違反報告)
えはと(プロフ) - A-yuy-Aさん» なかなか幸せにしてあげれてないですが、いつか必ずにこにこの雄也さんが見れるはずなのでそれまでよろしくお願いします！私も弱ってる雄也さん好き… (2019年7月28日 14時) (レス) id: e291ea7c47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えはと | 作成日時：2019年6月16日 15時
