君の蒼い花。3章=オリジナル= (ページ4)

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103話ページ4

気づけば夕方4時。
明るい西日が助産院の仕事部屋を照らす。

「ハルくん。今日はもう上がっちゃっていいよ」

「いいんですか？」

亜由美さんが肩を揉みながら言ってくれた。
今日はお産も無さそうだし、仕事もないし。

「蒼真くんのお迎え行ってあげた方がいいんじゃないかな。
学校の荷物、そんな少なく無いでしょ」

「あー！そうでした。急いで行ってきます」

車を隣町の端まで走らせる。
「光貴もそろそろ学校終わるだろ」

着信履歴から遡って光貴を探す。
いくら遡っても見つからない。
あれ、こんなに連絡とらないっけ。
結局見つからず、電話帳から見つけ連絡した。

「ハルくんありがとう。
今から雨の予報だったから助かった」

「いえいえ。ちょうど蒼真も迎えだし」

「…そっか」

光貴は後部座席で窓の外をずっと眺めていた。
会話がない。
沈黙が辛い訳ではないけれど。

「…今日で蒼真、高校辞めるんだっけ」

「そうだよ。荷物多いだろうから車出したの」

「…そっか。
あの、さ。なんか、寂しいね。
蒼真、本当に学校辞めたかったのかな、とか
俺思っちゃうんだよね。
俺学校好きだったからさ」

いきなり光貴がそんなことを言った。
俺は急に冷水を浴びせられた気分になった。

それが正解なのかなんて誰も知らない。

「今更何言ってんだよ、蒼真は蒼真だから」

「……ごめん」

光貴がしゅんとなって謝ったのを見て、
強く言ってしまったこと、後悔した。

それから、蒼真の高校まで会話はなく
エンジン音だけがずっと響いていた。