君の蒼い花。3章=オリジナル= (ページ1)

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100話ページ1

次の日、蒼真は高校最後の登校をした。
悪阻で重い体を引き摺りながら前と変わらない笑顔で「行ってきます」と出ていった。

「蒼真くん、学校行けたんだね」

「良かったです。本当」

亜由美さんにハルくんも頑張った！と褒められて
自分もよく支えたな、と自画自賛。

「今日も暖かくなりそうだなぁ」
もうすぐやってくる夏の日差しに
目を細めた。

その時、隣の新生児室から泣き声が聞こえた。
「有乃ちゃんじゃないかな？」
亜由美さんが確認して抱き上げる。

「よしよし、お母さんにミルク貰おっか」

佐倉さんを呼びに病室に行くと居なかった。
まさか、と焦る。
でもそんな焦りは必要なかったようで
角を曲がると
廊下に立ちすくんだ佐倉さんがいた。

「佐倉さ＿＿＿」

佐倉さんの視線の先には
今日退院する赤ちゃんとそのお母さんとお父さんの姿だった。
仲睦まじく笑い合う姿は羨ましいほどキラキラしていた。

「佐倉さん」

「あ、ごめんなさい」

「有乃ちゃんにミルクあげましょうか」

病室に戻って、ベッドに腰掛けた佐倉さんのパジャマの前を開けて、優しく胸をマッサージした。
亜由美さんが連れてきてくれた有乃ちゃんを抱き上げて、佐倉さんの腕におろす。

すぐに胸に吸い付いたものの、すぐに口を離してしまう。

出が悪いのか。
よくあることだから俺はそっと有乃ちゃんを預かってボタンを留めた。

「今日は哺乳瓶にしましょうか」

温めてた哺乳瓶を手渡すと、佐倉さんは俯いた。

「…ハルさん、俺ダメな母親ですね」