137話 ページ39
「もう大丈夫だと思います」
今日、目を覚ましたら明日帰ってもいいんだと。
ひどい貧血だった、とのことだった。
青白い顔に酸素マスク。
腕に刺さった点滴の針と人差し指に付けられた酸素濃度を見る機械。
痛々しかった。
普通の病室に眠ったままの雄也が移されて
その姿を確認したらお母さんは帰ってしまった。
忙しいのに申し訳ない…。
なんで倒れた時に傍にいなかったんだろう。
本当に悔やまれる。
酸素マスクが定期的に曇っているのを見て
生きてることに安堵してまた泣いてしまう。
「雄也……」
ごめんな、辛い時に傍にいなくて。
雄也が体調崩す度に不安になるんだ。
雄也はさ、俺といて幸せなのかなって。
ちゃんと守れてるかな？
握った雄也の左手。
…あれ、指輪は？
右手も確認する。
ない。
もしかして、雄也は俺と結婚したくない？
こんなに頼りない旦那やだよね？
当たり前のことだもん。
自分を納得させるたびにじわじわと涙が込み上げた。
鼻を啜ってると、雄也の小さな声が病室に響いた。
「…だいき……」
「雄也？」
急いで涙をふいて目を合わせる。
うっすらと開いた目が笑った。
「よかった、俺っ、もう雄也死んだらっ」
「勝手に殺すなよ」
雄也の枕元に突っ伏して泣くと頭を撫でられた。
「ありがとう、大貴くん。
でもいつまで経っても帰ってこないから心配になって」
それで立ち上がらせたんなら俺は罪深すぎる。
俺は何度も謝ったけど、その度にいいよって慰めてくれた。
「雄也くーん」
そんな謝ってばっかりの俺たちを止めるかのように
女の先生が入ってきた。
「あ、内海先生」
「雄也くんの担当医しています、内海です。
すぐに来られなくてごめんなさいね？」
そう言って雄也の体をゆっくりと見て
「うん。顔色もいいね」
と優しく笑った。
「良かったら、エコーで赤ちゃん見よっか。
お父さん、まだ見たことないでしょ？」
「あ、な、ないですっ」
そうだ、俺はお父さんなんだ。
自然と頬が緩むのを実感してしまう。
まだ薄い雄也のお腹に機械を当てられて
モニターに映ったのは
白いぼわぼわとした影。
「あー動いてるー可愛い」
雄也が指さした先は小さな心臓で、
ここにいるよと言わんばかりの信号のようだった。
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えはと(プロフ) - 侑葉さん» コメントありがとうございます！ぜひ採用させていただきます！少しずつですが更新頑張りますのでこれからもよろしくお願いします！ (2019年2月10日 9時) (
レス) id: e291ea7c47 (このIDを非表示/違反報告)
侑葉(プロフ) - ずっと読ませてもらってます。最近、�睫擇気鵑留Δ砲疋魯泙蠅靴討い襪里任△蠅燭�、ほんとに嬉しいです。病弱で華奢な�睫擇気鷓嚢發任后�もし、良ければ貧血エピソードなども書いて頂けると嬉しいです。これからも作者様のペースで頑張って下さい。 (2019年2月3日 9時) (レス) id: e04bce508f (このIDを非表示/違反報告)
えはと(プロフ) - はちみつさん» ありがとうございます〜！ありたかお好きな方がなかなかいないので嬉しいです！これからもよろしくお願いしますね！ (2019年1月31日 21時) (レス) id: e291ea7c47 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつ - 更新頑張ってください。ありたか担なので、くっついてくれてすっごく嬉しいです！これからも頑張ってください！ (2019年1月29日 17時) (レス) id: aace91196a (このIDを非表示/違反報告)
えはと(プロフ) - ゆーやせーばぁさん» ありがとうございます！頑張って更新していきます！ (2018年12月3日 17時) (レス) id: e291ea7c47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えはと | 作成日時：2018年12月2日 1時
