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「こうして合わせることになるとは、思ってなかったけど… こっちがAで、こっちが零。Aは戸惑うと思うけど、兄妹よ」
そう言って引き合わせられたのが、10秒ほど前。
私は、冷房の効きすぎた喫茶店の一角で、自分の兄だという人と向き合っていた。
プラチナがかった髪に、焦げ茶色に揺れる優しげな瞳。周囲の女性の視線を引きつけている彼は、控えめに言っても整った顔立ちだと言えるのだろう。
少々のことでは感情が顔に出ない性格をしているせいもあり、特異な状況になったな…と思いながらも、私は静かに彼を観察していた。
害を与えるなら問題があるけど、そうじゃないなら関わることも少ないだろう。それが私の下した判断だった。
「…ま、まあ、少しずつ兄妹になってくれれば、ね?ほら、ゆっくり話したいと思うから、私は仕事行っちゃうね。分かってるとは思うけど、また1年ほど会えないから。家の鍵はAが持ってるから、帰るときは一緒にね」
“一緒に”を強調して逃げるようにその場を去った母。
彼はそんな母にぺこりと頭を下げると、「宜しくね」と微笑んだ。
「見た感じ、母とは面識ありますよね?無理に兄にならなくても大丈夫なので。安心して、過ごしてください。こちらこそ、宜しくお願いします」
初対面にしては、きっと硬すぎる挨拶。
でも、これが私にとっての精一杯だった。
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凡人の独り言 - とっても面白いです!!続きが気になります。更新待ってます(*‘ω‘ *) (4月5日 22時) (レス) id: 29894ca94d (このIDを非表示/違反報告)
まり猫 - 初めまして!!とっても面白いので続きが気になります!更新待ってますヽ(´▽`)/ (2019年11月18日 20時) (レス) id: 2d4b5d52f1 (このIDを非表示/違反報告)
安田ヨココ(プロフ) - 初めまして!零くんがお兄ちゃんって設定すごく良いです!!面白いので続きが楽しみです!更新頑張ってください! (2018年7月19日 14時) (レス) id: d4fbe2e5a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リオ | 作成日時:2018年7月2日 1時