RESET〜ＫＨ＆ＹＳ〜 ４

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きっとこっち…。


店を出たすぐにはいなくて、左右を見渡した後、右側の通りへ歩いてみた。








「あ…」





角を曲がったすぐの、銀行のシャッターの前に。

俺のフィルターには「恋人同士が寒さをしのぐ為に寄り添ってる」風にしかみえない二人。





…俺。やらかしたんだ…。



さっきから心臓のドキドキがとまらない。



今日、振られるのかな？

弱気になって、足がすくむ。



けど。


…ヒョンは。

一歩も二歩も、
…周りの男よりヌナに近い存在だから。
気を抜いちゃダメな相手だから。



勇気を出して、近づく。







「A…」

ぴくりと反応した背中。
確かに聞こえているのに、
二人の会話が止まったのに。



…振り向かないヌナに、

コトの深刻さを突き付けられたみたい。


二人の正面に回り込んで、
「ヒョン、すみません。
僕に、送らせて、下さい」

相変わらずヌナは俺を見ないから、ヒョンに話しかけた。




「タクシー捕まえようと思っただけだから。あ、でもまだ捕まえてないけど…。じゃー」

嫌味の一言でも言われるかと思ったのに、拍子抜けなほどさっと店に戻って行ったヒョン。







…残されたのは、二人。






「…ぎゅも、いーよ。戻って？」

その、投げやりな言い方に、カチンときた俺は。

自分がさっきの店でどんな態度だったかなんて、完全に忘れていて…。
わざと乱暴に腕をとり、車道の側まで出て、タクシーを拾った。




俺が行き先を告げたきりの静かな車内。


お互いに、なんだか怒ってるようで

それを、淋しい…なんて感じた俺は、

そっとヌナの左手を握った。



…ヌナの手を、上から握り込んでも

普段なら繋ぎやすいように手を動かしてくれるから、すぐに絡む指なのに。


いくらにぎにぎしても、
一向に動く気配のないヌナの手は…。



動かさないように、


…必死になってる。




ヌナの後に続いて降りた俺を、少し驚いた目で見て…。

でも、何も言わない、から…



緑の門扉を後ろ手に閉めた途端。

俺の中の、苛立ちが…

ぶわっと…

不安に変化して…。





目の前の





ヌナの背中に、







抱きついた…








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