５ ページ5
大学にはギリギリ間に合い、クタクタの状態で授業を受け続けたから、もう頭が回らない。
隣を歩くテヒョンは、私以上に放心状態だ。
『大丈夫？』
TH「大丈夫じゃない。
A〜、俺は今すぐハンバーガーを食べないとダメだ。」
『ダメだよ。早く帰って、晩御飯の準備しないと。』
テヒョンの手には、買い込んだ食材たち。
今日は大安売りの日だから、たくさん買い込んでしまったなぁ。
仕方ない。今晩はテヒョンの好物でも作ってやるか。
TH「Aってさ。やっぱり、あの警察官の人のこと、まだ好き？」
『何、急に。どういう話の流れでそうなる？』
TH「いや。朝の話を思い出して。」
『あぁ・・・・うん。オッパには内緒ね？』
TH「ヒョン、警察官は嫌いだもんね。」
高校１年生の秋頃。
あの頃は、私とテヒョンは今のようにずっと一緒にいるわけではなく、テヒョンにはテヒョンの友達がいたし、私には私の友達もいた。
だから、一緒に帰らない日もあった。
その日は、私は友達と一緒に買い物に行き、帰りが少しだけ遅くなった。
とは言っても、８時くらいだったと思うけど。
それでも十分暗くて、私は急ぎ足で帰っていた。
人通りの少ない路地を通っていた時、突然、見知らぬ男性に手を強く引かれた。
抵抗をしても、自分の上に馬乗りになっている男性はびくともせず、ニヤリと笑って私の服へと手をかける。
恐怖で声は出ず、ただひたすら涙が溢れ出す。
その時に助けてくれたのが、たまたま近くをパトロール中だったお巡りさん。
少し若いその人は、中性的な見た目に反して、軽々と男性を拘束した。
すぐに他の警察官もかけつけ、その男は連れて行かれた。
“もう、大丈夫。”
そう言って、泣きじゃくる私の背中を優しく摩ってくれた。
そのぬくもりに、私の心は救われた。
けれども、さすがに生まれて初めて味わった恐怖は、私にとっては十分なトラウマとなり、1人で外を歩くのが怖くなった。
私を心配したテヒョンがずっと一緒にいてくれたけれど、それでも、最初の頃は外に出られなかった。
そこで、気持ちを切り替えるためと、怖い思いをした場所から離れる為に、オッパの提案でこの街へと引っ越して来た。
私はテヒョンと一緒だと、外を歩けるようになり、今ではおそらく、1人で歩けるまでに心は回復した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2494人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あや(プロフ) - よしわかった！最終的にはジミンと付き合おう(無茶言うな) (2020年7月9日 23時) (
レス) id: 1094985f75 (このIDを非表示/違反報告)
ゆか(プロフ) - まゆうさんこんばんは(^^)まゆうさんのお話グクメインのお話から読んでいるので(グクペンなので笑)まだ全部読んでませんが…今までに読ませていただいた小説すべて泣いてます(T_T)ほんとに素敵な小説ばっかりで…尊敬します！！他の小説もまた読ませていただきますね！ (2020年7月9日 23時) (レス) id: b94e898823 (このIDを非表示/違反報告)
まゆう(プロフ) - のぞみさん» うわぁぁぁのぞみ様！！！いつも嬉しいお言葉ありがとうございます！！！私の地域は、今のところ被害はなく、何気ない一日を送れることの大切さを毎日噛みしめています。のぞみ様も、災害、コロナと合わせ、お気をつけてお過ごしください。 (2020年7月9日 23時) (レス) id: 77e5296d5f (このIDを非表示/違反報告)
まゆう(プロフ) - カフェ猫さん» いつもコメントありがとうございます！推しだなんて・・・・嬉しすぎてパソコンの画面を見ながらニヤニヤしてます。(不審者)これからも精一杯頑張ります！ (2020年7月9日 23時) (レス) id: 77e5296d5f (このIDを非表示/違反報告)
まゆう(プロフ) - サカナさん» サカナ様、いつもコメントありがとうございます！！癒しだなんて(涙)私にとって、サカナ様や読者の方のコメントが癒しです！！たくさん癒して頂いたので、全力で頑張ります！ (2020年7月9日 22時) (レス) id: 77e5296d5f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まゆう
| 作成日時：2020年7月1日 0時
