164. ページ14
やっと泣き止む頃には、バイトの終了時間はとうに過ぎていた。
いつもなら、オッパに数学を教えてもらっていた時間。
もう、あの幸せな時間は二度とこない。
というより、元々なかった。
Aを呼ばれることも、勉強を教えてもらうことも・・・。
オッパから貰ったシャーペン。
オッパにあげたボールペン。
オッパが大きく、キム・Aと書いてくれたノート。
オッパのいる教室。
オッパのいる数学準備室。
どこを探しても、オッパとの思い出は何一つなかった。
そりゃあ、そうか。
全部夢だったのだから。
ただ、モノクロに近い、色のない毎日をすごした。
オッパのいない毎日がこんなにも沈んで見えるなんて。
JM「A、大丈夫？
結構、やつれたけど・・・。」
『大丈夫。』
全然、大丈夫なんかではない。
夜も泣いてばかりで眠れず、立っているのがやっとな程。
勉強を頑張りすぎて、倒れたこともあったな。
あの時は、自分からオッパから離れて。
お互い、意地を張って、“寂しい”が言えなかった。
テヒョンと付き合ってるなんて噂された時には、オッパが怒って、距離を置かれてしまった。
ウサギの着ぐるみを着たオッパに謝られた。
Aさんとテテさんの結婚式では、一緒にいる未来の話までしてくれた。
そんな、未来はやって来ないのだけれど。
旅行では、初めてオッパと結ばれ、オッパの愛をたくさん感じた。
そして、そこで気づいたんだ。
いろいろな未来があったことに。
こんなに鮮明に思い出を覚えているのに。
それは二度とやってこない、ありえない未来の話。
こんなにたくさん夢を見ていたなんて、もう、自分でも引く。
JM「何があったか、僕にも言えない？」
『うん・・・ごめん。』
言えるわけがない。
夢の中の人に恋をして、その人には彼女がいるなんて。
JM「僕は、Aが辛そうにしているのが、この世で1番辛いよ。
僕に何か出来ることがあれば、言ってね？」
なら、この世界を終わらせて欲しい。
ずっと眠り続けていれば、私は夢の中でオッパといられるのかな。
ジミンと歩いていると、バイト先であるお店の前に、見慣れた人物が立っている。
私を見て、丸くて大きな瞳を少しだけ目を細める。
JK「よかった。今日、バイトだから待っていたら来るんじゃない？って、ヒョンが言っていたから。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2212人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りぃ - ああ涙が止まらないよおお(;;)勿論グクと○○ちゃん結ばれてよかったんだけどジミンが記憶戻ったところ大泣きしてしまったー！！（ ; ; ）よかったほんとに、、！！今まで読んできた小説でいちばんです！ (2021年5月2日 18時) (
レス) id: 6a137e9fb7 (このIDを非表示/違反報告)
chan(プロフ) - 泣きました。作者さん最高です！ (2021年4月22日 0時) (レス) id: 13c40b890a (このIDを非表示/違反報告)
わたし。(プロフ) - ジミナー！って色んな涙が出ました！ (2021年4月1日 22時) (レス) id: 373e34b3f9 (このIDを非表示/違反報告)
ありす(プロフ) - 今まで色んな小説を読んできてこんなに心が揺さぶられた小説は初めてでした！！！！本当に本当に面白くて読んでる最中は凄く泣けてきて本当にこの小説に出会えて良かったです！！！！！ (2021年2月7日 12時) (レス) id: e88d06d936 (このIDを非表示/違反報告)
miki-miki(プロフ) - まゆうさんのお話を読み始めてから他の事が一切できなくなりました…。面白すぎて読み終わるまで何も手にくださいつかないです…。全ての作品を読み終わる頃には、廃人になってしまいそうです…w感想沢山食べありますがとても語りきれないので最高でした！！とだけ…！ (2020年10月4日 16時) (レス) id: 969190ed48 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まゆう
| 作成日時：2020年2月14日 23時
