【HQ】それでいて純愛【黒尾鉄朗】

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は、と浅く息を吐き出した


これだったのだ

学校が騒然としている理由も、電話でこいつがこんなに取り乱していた理由も




「きっと、あたしへの罰なの。友達以上の関係なんで望んじゃいけなかったの」



ああようやく、前へすすめるとおもったのに

すすり泣く声があたりを支配する



「あたし、あなたが好きよ鉄朗」



暗い海の中に、俺の顔が写っているのが見えた

思わず息を飲む



ようやく気づけたの

この間の坂本くんとのデート


あなたのことが頭をよぎった



あなたのことを考えるだけで、しあわせになれるの


大切なものは、すぐそばにあったの

それに気づけなかった



「でもね、あたしはこれから、一生罪を背負って生きていくの」


あたしのせいで失ってしまった生命への償い

身の程知らずな願いへの対価



じっと暗闇を見つめる


暗闇は俺を捕らえるように見つめ返す


ゆらりゆらりとゆらめく

ふかいふかい、海の底へ



俺は、自らその手を伸ばした

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