【HQ】猫だって愛されたい!! (ページ36)

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にゃん58 ページ36

「みんな私に肉ばっか食べさせようとするんですよ。そんな好きじゃないのに」

「いいじゃねえか、ちょっと食べてやれよ」

相変わらず黒尾たちがAを探し回っている

その手に持ったお皿には、さっきよりも明らかに量が増えた野菜と肉

あんなに食べないよ⋯⋯と隣でため息が聞こえた

「じゃあ夜久さんちょうだい。あーん」

さっと黒尾たちに見えないように移動して、俺の目を見た

こっちをじっと見て、口を開けて待っている

きゅうと喉の奥が変な音を立てた

「⋯⋯ほら」

「ありがとーございます、おいしーですね」

もぐもぐと食べると、ごちそーさまでした、と立ち上がった

「⋯⋯昨日のこと、そんな気にしないでくださいね」

見上げている俺の口に、マシュマロの串が突っ込まれる

あの後病院に行ってから、なんともないと診断されたAは、激しい運動はしないということで、最後まで合宿に参加することになった

俺、そんなに顔に出てたか

「夜久さんが笑ってたほうが、私は嬉しいです」

ほんのりと笑って、みんなの輪の中に入っていった

「Aちゃんいたー！肉食え肉！」

「もう食べました！ごちそうさま！」

咥えていたマシュマロの串が、ズボンの上にぽとりと落ちた

気づきたくなかった

口を拭った時に感じた、頬の熱さ

マシュマロの甘さが、まだ口に残っている

「うそだろ⋯⋯」

俺も、Aのことが、好きなんだ