検索窓
今日:11 hit、昨日:71 hit、合計:64,009 hit

にゃん56 ページ34

人のいない冷たい廊下を横切り、誰もいない保健室のベッドに、そっと横たえる


初めて抱えたこいつは、俺が心配になるほど軽くて、さっきとは別な不安が俺の中に生まれた



「ふぅ⋯⋯」




無意識に口から息が漏れる



初めて“女の子”に触れたような感じがした


近くの椅子に腰掛け、ぼんやりとAを見る



それまでやり場のなかった感情が、ふと自分の中に落ちてきて、ようやく息ができたように楽な気持ちになった




俺はAのことが好きなんだ



髪を指ですく


初めて会った時から、俺の心の隅に隠れていたモヤモヤが、やっと姿を現した






心配ばっかかけさせやがって


勝手にしてるだけのくせに

図々しいよな、と我ながら思う





こいつが俺をそういう目で見ていない事は十分にわかっている


でも期待してしまうのだ

もしかして、いつか、俺のことを見てくれるんじゃないだろうかって



自分の中に邪な考えが浮かんできて、慌てて打ち消す


逃げるように保健室を出る



「⋯⋯くっそ、何考えてんだよ」




自分の心臓の音が、廊下中に響き渡っていないか不安になった

にゃん57→←にゃん55



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (100 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
681人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まあ | 作成日時:2024年3月9日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。