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にゃん55 ページ33

頭が真っ白になる



俺があの時、声を出さなければ

もしかしたらAには当たらなかったかもしれない


すうっと背中が冷えていくような感じがした



「Aっ」


足が固まって動かない俺の横から、黒尾が飛び出す


頭ではわかっているのに、どうしても体が動かなかった


そっとAを宝物のように抱えると、「やっくんあと頼むわ」と言った



「やっくん⋯⋯ごめんな」

「いや、木兎が謝ることじゃねーよ」


むしろ、俺の方が悪い


かけ寄ってきて、申し訳なさそうに謝る木兎


しょぼんとした髪の毛、相当落ち込んでるな



その肩をポンと叩いて「後でAが元気になったら会いに行こーぜ」と声をかけて、床に投げ出したタオルを拾った





Aのことを心配そうに見遣る黒尾の顔を思い出して、俺の中に1つの直感めいた考えが思い浮かぶ


でもそれは考えれば考えるほどに現実味を帯びてきて、俺に確信を持たせた




あいつは、黒尾は、



Aのことが、好きなんだ

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作者名:まあ | 作成日時:2024年3月9日 13時

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