【HQ】み ゃ ー つ む 注 意 報【宮侑】

注意報29 ページ29

「『柳さん、覚えてる？』俺だよ、俺」



途中で通話が切られる


機械を通さない声に、私は聞き覚えがあった



中学の時のクラスメイト


進学の時は別の高校を受験したのか、いつの間にか忘れていた人



「⋯⋯佐倉くん」

「あは、やっぱり覚えててくれた」



フードを取ると、どこか懐かしい、でもあの頃とは何か違う顔が現れた

懐かしい顔を見たのに、ビリビリと体が危険だと反応している


このままじゃ、やばい



「どうして、電話かけてきてたの」

「柳さんの声が聞きたかったからだよ」

「普通にかけてくれればよかったのに」



どうしよう


こういう時、どこに連絡すればいいの



口の中がカラカラに乾いていく


電話帳の1番上に登録された番号

音消しにして、気づかれないように電話をかけた



「柳さんさあ、宮侑と付き合ってるよね」

「そうだよ」

「どうして？」


どうしてって⋯⋯



「好き、だから」

「ふーん、そうなんだ」




街灯に照らされた、血走った目が見えた



「ねぇなんで」

「ぇ、」


「なんであんなやつなんかと付き合ってるんだよ。君のこと悲しませるような、最低なヤツなのに」



いきなり近づいてきて、私の腕を強くつかんだ



明確に恐怖、の文字が私に突き刺さってきて、息を飲み込んだ

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