【HQ】恋に泣くなら君がいい【宮侑】 (ページ9)

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「おはよう」

「⋯⋯もう起きとったんか」

「仕事大丈夫なの」

「今日は午後から」

意外に朝は早いようだ

椅子に腰掛けた目の前の女は携帯を少し指でなぞる

「宮さんて一応凄い人なんだね」

向けられた携帯には《高校NO.1セッター宮侑》の文字

ああ、前の記事か

横に指を動かすと、《高校最強宮ツインズ》という記事も現れる

それらのことは全て、既に俺の中では過去の物となっていた

あの時の自分が出来たことではなく、今の自分が何をするのか

それを念頭に置かなければ、同年代の怪物共に置いていかれてしまう

「こっちの銀髪の方かっこいいよね」

「はあ、俺の方がかっこいいやろ」

「いや私の好みこっちだから」

「見る目無いな」

「センスはいい方ってよく言われるんだけど」

納得いかないのだが

少し睨みつけると「大丈夫、宮さんもかっこいいよ」と目を細めて画面に戻した

子供を宥めるような扱いには些か不服だが、楽しそうな姿に少し安心する

昨日の今日で落ち込んでいたり、変によそよそしかったりしないだろうかと柄にも無く心配していたから

「ご飯とか、何か食べていいの」

「あるもん適当に使ってええよ、好きにし」

「料理とかあんまできないんだけど」

「大丈夫、俺もや」

何も大丈夫じゃあないよ、と耳に髪をかける仕草がやけに様になっていた