. ページ5
脱衣所から出てきたところを手招いて呼び寄せる
かなり時間が経ってからで、正直待ちくたびれてしまった
髪が長いとこんなにも時間がかかるのか
これまで気にしたことはなかったが、案外面倒なもののようだ
「で、自分名前は」
まず目の前の女が何者なのか、それが知りたい
このまま身元が分からないまま泊まらせるのは気が引ける
場合によっては警察とか、親御さんに連絡しなければならないだろう
「訳アリなら別にええけど」
「そんなんじゃないよ」
ソファの隣に腰を下ろすと、長い脚を組んでこちらを見た
「北館A、17歳高3」
「高校は」
口から出た高校の名前は、ここら辺では有名なお嬢様学校
こんな不良みたいな奴も通っているのか
いまいちこれまでの印象と合致せず不思議な心地がする
「いろんな人がいるよ。不良とか、真面目ちゃんとか、生粋のお淑やかな子とか、」
途中でグレる子とか、ね
最後にほんのりと微笑んだ
それが自分だということだろうか
「で、あんたは」
「宮侑、歳は18、就職でこっちに引っ越してきたんや」
「職業は?」
「バレーボール選手」
「ふうん、一応年上か」
バレーボール、のところにはさして興味がないように流して脚を組み替えた
17で男のところ渡り歩くとか、訳アリな香りしかしない
「しばらくよろしく、宮さん」
にいっと笑って、曇りのない瞳で俺を捕らえた
もしかするとひどく厄介なものを拾ったのかもしれない
123人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まあ | 作成日時:2024年4月21日 16時