. ページ16
そのままゆっくりと道なりに歩く
近所だがあまり来たことの無い所は、どこを見ても新鮮だった
「ちょっと⋯⋯!」
「ああ、ごめん、なんや」
「別にさっきの、気にしなくても良かったのに」
手を繋いだままだったことに気がついて、そっと力を緩めた
歩幅を合わせると、「大丈夫だから」と小さく呟く
そんな顔で大丈夫とか言われても、不安が積もるだけなのに
「知り合いなんか?」
「一人くらい、同じクラスだったかもしれない」
3年生になってからほとんど行ってないからわからないけど
「学校、いつから行ってないんや」
恐らく、一番触れてほしくないであろう所に、触れた
聞かん方が良かっただろうかとか、遅過ぎる気持ちが頭を回る
「5月⋯⋯くらいだと思う」
4ヶ月ほどか
「掲示板とかであることないこと書かれてるから、正直行きづらい」
「⋯⋯そうか」
行かなくてもええのに
純粋な心配では無いものも混じっている言葉を無理矢理胸の中に押し込んだ
身勝手な独占欲のような、歪な形をした物
それをぶつけるのはどう考えても間違えている
「なーんかしんみりしちゃったね、ごめん」
その口元は少し引き攣っていた
努めて明るく振る舞おうとしているのが傍目にもわかる
元気づけたい
⋯⋯これは多分、純粋な気持ち、のはず
123人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まあ | 作成日時:2024年4月21日 16時