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「クリーム着いとるよ」
「え、ほんと？」
「嘘やないよ」
こっち、と紙ナプキンで拭いてあげると真っ赤に染まる顔
ごめん、と小さく下を向いた
⋯⋯なんやねん
自分にも伝染るじゃないか
こういうの、慣れとらんのかな
本当の意味で彼女に近付けたような気がして、嬉しさが胸を満たした
「⋯⋯食べよ」
「おお」
そのまま黙々とフォークを進めた
俯いてこちらを見ない耳が赤くなっているのを見て、満更でもない俺がいる
「ねえあれ」
「ほんとだ、⋯⋯」
普段なら聞き取らないであろう、小さな声
それなのにその時の俺は、小さな音を拾いとった
「北館さん、じゃない」
「援交してるって本当だったんだね」
「でも歳近そう」
「ちょっとかっこいいよね」
斜め後ろに視線を移すと、3人の女がこちらを見てヒソヒソと話していた
Aのことを知っているのだろうか
正面に視線を戻すと、居心地が悪そうにフードを被って窓の外を見ていた
もしかして、と思う
行きたくないのではなく、噂のせいで行けなくなったのではないか
その横顔がどこか寂しげで、自分の予想は当たらずしも遠からずだと確信を持った
「帰るで」
「え、まだいいよ」
驚いたように目を丸くする
そんな顔しておいて大丈夫な訳ないだろうに
「ほら」
会計を手早く済ませると、手を引いて店を出た
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作者名：まあ | 作成日時：2024年4月21日 16時
