最愛の彼を守る方法２

74話　最後のピース ページ28

ロシナンテside

頭の中に、映像が流れてくる。
まるで自分の思い出が蘇るかのように…



___『なんで……なんで殺したのよ！！』

変なメイクをして血を流す俺を抱く、誰かの叫び声。
あたりは一面、真っ白い雪景色。

___「これでお前は、俺のモノだ」

目の前に迫るドフィの顔。少し若い、気がする。


___『コラソン……コラ、ソン…っつ………ロシィィィ！！』

コラソンという名前はさっき兵隊から教えてもらった
ファミリーの最高幹部の名称だ。
その名とともに俺の名を叫ぶ女の声。

そして、突然場面が変わる。


___『時が、戻った……？』

時が？何だ？何だこの映像！


___『あれだっ！！！』
あれって…やっぱり俺だ！ゴミ箱から引っ張り出されて、変なコート着て、変な顔してる。


これは俺といる誰かの、記憶なのか？


___『私……貴方が好きなの』
俺と目が合う。
あ、俺はこいつに惚れてんのか。


___「じゃあ町外れの、倉庫裏で。」
確かに俺の声だ。目の前に花…赤い花。そこには俺の字で"君によく似合う"というメッセージ。


___「俺と、来るか？」
そして重なる唇…っていや、これはなんか微妙だぞ、俺が俺としてるみたいでなんかキモいぞ！


___『一度してみたかったのよ！』
___「奇遇だな、俺もだ！！」
小さな子供を挟んで俺がいる。


あー、なんとなく…わかってきた。


___「痛ェのはお前の方だったよな…かわいそうによォ…！！！ロ"ー……！！！」


これは誰かの記憶。
誰かと俺の、記憶。



___『もう、やめてよ、ドフィ…私はどうなってもいいから、あの人たちを、助けてよ……』
___『ロシィ……ロー……どうして、どうして逃げなかったのよ……』


雪の上に横たわる、俺と小さな子供。
揺れる視界。
胸が締め付けられるほど、痛い。


___『戻って！！"リターーーンッ"！！！！』


もう、やめてくれ…

もうわかったから…


その誰かとは…"A"
そいつの能力は…"過去へ戻る"

何度も過去に戻り、また死を目の当たりにする。


そして、見覚えのある光景。

___『これ以上、先に進むな』
聞き覚えのある、幼い声。


全てが繋がった…


＊


「ロシランド？」

兵隊が心配そうに覗き込む。
俺の頬には、生暖かいものがとめどなく流れていた。

「これは、本当なのか？」

サングラスを取り、ヴィオラを見る。
彼女も、泣いていた。

「本当よ。私のギロギロの実の力は、私の頭の中を人に見せることもできる。それは彼女、Aの頭の中を覗いた時に見た彼女の記憶よ…」

こんなこと信じられないはずなのに、腑に落ちてしまう。

それはまるでパズルの最後のピースがはまる瞬間に似た感覚だった。

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