他に何もいらない ページ10
.
『ぐっすり、寝ちゃってたね』
「まあ、あれだけ遊べばね」
チビ二人を見送った後
離れの一室で紅茶を飲みながら
楽しかったなあって呟くA
「久々にかくれんぼなんかしたよ、僕」
『わたしもだよ、(笑)』
「お前さ、よくこの離れに、隠れてたよね」
『けど、すぐお兄ちゃんに見つかって泣いてた(笑)』
「お前が行くところバレバレ」
『それで、お兄ちゃんママに怒られたよね(笑)』
「みんなAの味方で困っちゃったよ」
『楽しかったなーあの頃』
「僕も楽しかったなー」
『そうなの?お兄ちゃん、大変そうだなって思ってたよ私』
「五条家うんぬんより、お前のこと守るので必死だったんだよ」
『•••ありがとう』
僕のことを見るAに
改まってそんなこと言われると
照れるっていうか
今、それいうのは反則じゃない?
「•••やけに素直じゃん」
『恵まれた環境に感謝してたの。•••捨て子だったのに、私』
「僕は、お前が五条家に捨てられてラッキーって思ってるよ」
『•••お兄ちゃんも、素直』
「さっき、色々思い出したんだ。小さな頃からお前がいるのが当たり前でさ。血の繋がりがないって聞いた時、安心したんだよね。僕みたいに狙われる必要も、残酷な将来もないって。お前の幸せ、一番願ってたんだと思う」
『•••やめてよ、なんかいい人みたいじゃん』
「お前、いい人ってねー」
『••••••お兄ちゃん、距離置いてごめんね』
どこかバツが悪そうなAは
帰国パーティもドタキャンしてごめんって
「仕事忙しいんでしょ、仕方ないよ」
『•••うん』
「気にすんなって」
『•••ありがとう』
「やっとさ、お前のこと余裕で守れるくらい強くなったんだ。この間はそのことを伝えたくて」
『•••昔から守ってもらってるよ』
「全部からだよ。お前を悲しませるものから、全部」
『•••すごいね、お兄ちゃん』
「なんでそこまですると思う?」
『え?』
もう、遠慮はしない
だって、こいつのこと欲しくてたまんないもん
僕、最強だから絶対死なないし
Aのこと、どんなものからでも守るし
世界一幸せにするし
こいつのためなら、なんでもする
だって僕
Aがいれば、他に何もいらないから
「好きだからだよ、Aのこと。ずっとお前しか見てなかった」
.
612人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:すうぷ | 作成日時:2023年10月19日 12時