俺の妹２【五条悟】 (ページ26)

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今でもページ26

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ようやく連勤が終わる

お気に入りの酒を何本か買って帰ろう

久々に歩く街中は

一気にクリスマスムードになっていた

人混みを掻き分けながら

ああ、こんな時間に来なければよかったと

後悔する

時刻は18時過ぎ

早く帰ろう

せっかく定時で上がれたのだから

足早で帰宅中

時計を見てたその一瞬のよそ見で

すれ違い様にぶつかる紙袋が

あまりの衝撃で絡まる

ああ、ついてない

「すみません」

紙袋ばかりに

気を取られていた私は

やっと顔を上げ

持ち主の方を見る

『•••••ナナミン』

別れてから、10年

更に綺麗になった

あなたが目の前に立っていて、夢かと思った

「•••お元気でしたか？」

『•••うん、ナナミンは？』

「•••相変わらずです」

『•••そっか』

ふわりと微笑む笑顔

綺麗な焦茶色の瞳

真っ白な肌

ぶわって蘇る記憶

溢れ出す想い

それらに蓋をするように

Aさんの方をみる

「すみません。すごい衝撃でしたよね」

『袋がぶつかっただけだよ、大丈夫。私こそ、ごめんね』

「体にあたってませんか？」

『うん、全然大丈夫』

絡まった袋をゆっくりと外す

酒の入った私の紙袋と

ベビー服ブランドの紙袋を持つAさん

「•••予定日は、そろそろって聞きました」

『•••うん、そうなの』

「•••五条さんの誕生日が予定日らしいですね」

『•••偶然だけどね』

ふっくらとしたお腹を

優しく撫でるAさんは

やっぱり世界一綺麗で

10年経ってもそれは変わらなかった

「こんな人混みを歩くなんて、危ないですよ」

『ね、予想以上の人混みでびっくりしちゃった(笑)』

左手薬指に輝く結婚指輪

大きなお腹

そんな物理的なものじゃなくて

優しく微笑む顔に

あの頃と変わらない穏やかな音色

私が入る隙間なんて一切ないくらい

あの人に愛されてるのが一目でわかった

「•••10年経ったのに、何も変わってないですね」

『•••ナナミンこそ全然変わらない』

「•••まさか10年ぶりに会うなんて」

『•••ね、本当に(笑)』

好きです

今でも愛してます

一生忘れることなんてない

私の最愛の人です

そんな言葉を胸にしまって

「体に気をつけて、元気な赤ちゃん産んでくださいね」

『•••うん、ナナミンも。体に気をつけてね』

街中に消えていくあなたを

ずっと眺めていた

「来世こそは、あなたの隣にいたいです」

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