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一番に ページ18

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大雨



傘なし



迷子



充電切れ



はあ、ついてない




田舎の方にある取引先


直帰でいいよって部長からのお言葉で


早めに帰れるってルンルンの私は


難なく仕事を終わらせ


あとは硝子さんとのご飯!って


ウキウキしながら外に出ると、大雨




げー、さいあくだ


大雨だなんて聞いてないよ



もちろん、折り畳み傘もないし


コンビニも見当たらない



駅から徒歩10分


とりあえずタクシー拾おうと


大通りに出るまでの間に、豪雨



シャッターが閉まった


小さな書店の前


ごめんなさいって心の中で謝って


雨宿りをさせてもらってる




街灯がぽつりぽつり


お店もほとんど閉まってる




充電も、体力も0%


外も真っ暗


寒い、怖い


約束の時間も過ぎてるし


全体的に絶望感が漂ってる



はあ、もうつかれた


雨に濡れないようしゃがみ込んで


隣にある自販機に寄りかかって目を閉じた




そういえばあの日も

こうやって途方に暮れてた



初めて雪を見た、7歳の冬


それがすごく嬉しくて


本家を飛び出して


雪世界を1人楽しんでたら、迷子になったの



怖くて


涙が止まらなくて


もう死んじゃうって思った時


お兄ちゃんが見つけてくれたんだ



スーパーマンが来てくれたって思った


すごくかっこよくて


泣いてる私を優しく抱きしめてくれた


息が切れたお兄ちゃんは


なんだか泣きそうな顔してた




『•••ごめんなさい』


「•••もし次こんなことあったら、俺の名前呼べ」


『どうして?』


「お前が呼んだら、どこにいてもすぐわかるから」


『すごいね、お兄ちゃん』


「けどもう離れんな。まじ心臓止まるから」




そういって笑うお兄ちゃんを見て


どこか照れくさい気持ちになった私は


きっとあの時から、お兄ちゃんが一番だった




俺がずっといるから、何も心配すんな


は?彼氏?やめとけ、俺より弱いだろ?


お前が好きなケーキ買ってきた。桃鉄しながら食おうぜ




色んな思い出が蘇って


何だか急に涙が溢れて、止まらなくなった



嬉しい時も、悲しい時も、助けてほしい時も


一番に思い浮かぶのは、悟だけなんだ




ばかだな、わたし

もう、嘘なんかつけっこない

悟はずっとずっと特別で、一番



さいていだ、私





『•••さとる』



柄にもなく昔の約束を忠実に守る私は


頭を伏せて、雨の中1人で泣いた







「•••やっとみつけた」


私のスーパーマンは、やっぱり悟しかいない

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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟 , 七海建人   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:すうぷ | 作成日時:2023年10月19日 12時

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