俺の妹【五条悟】 (ページ44)

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大切なものページ44

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〝紹介したい彼がいるの〟

そんな話をAさんは、電話越しにしていた

『ママたち、いつでもいいって』

笑顔で私に話しかけてくれたあなたは

ちょうど1ヶ月後の2人のお休みが被る日は？って

呪術師になってから

なかなか休みも取れず

会える時間も少なくなった

出来るだけ早く同棲をするために

マンション選びに、家具

必要な書類

待ち時間で色んなことを調べる私は

とにかく幸せだった

まさかこんなに早く

恋人同士のようになれるなんて

夢にも思っていなかったから

多少無理をしているのだろうと

Aさんを気遣う時もあるが

私に向ける笑顔は

嘘ではないと確信してから

とにかく幸せで

この幸せを逃したくないと必死だった

「素敵な方ね」

『でしょ？素敵な彼なの』

だいぶ身構えていたこっちとしては

あまりにも普通すぎる親子関係に拍子抜けした

大豪邸で

たくさんの使用人の方がいて

ああ、五条家の一人娘だったと

住む世界が違うと思い知らされたが

あなたの人柄のおかげで

使用人の方みなさんすごく良い方達で

あなたをすごく大切にしているのが伝わった

『ここが私の部屋だよ』

廊下を進むと部屋が二つ向かい合わせにあって

聞かなくてもきっとその隣はあの人なんだろう

って勝手に少し嫉妬した

あの日以来

あの人の話は2人の中でタブーになった

なんとなく触れたらダメ

なんとなく避けている話題

きっと彼女なりの

私への気遣いなんだろうが

その気遣いさえも、少し嫉妬してしまう

たくさんの使用人の方を1人ずつ紹介してくれて

庭で飼ってる鯉の名前も教えてくれて

五条家専属のシェフが作る

あなたお気に入りのフレンチトーストも食べた

その至る所に

あなたとあの人の写真があった

赤ちゃんの頃から、高校の時まで

写真館で撮ったようなものから

誰かが撮った、不意打ちのようなものまで

とにかく写真の中の2人は幸せそうで

この2人を切り離すことは出来ないのも思い知った

ただ私自身も

何が何でも、離すつもりはない

命よりも大切なものなんて

世界中探しても、あなたしかいないんだから

『あとは、内覧とかだね』

「はい。早く一緒に住みたいです」

『私も！ナナミンの、ご飯毎日食べたい！』

「死ぬまで作りますよ、あなただけに」

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