はじめての ページ38
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『ナナミンって、出来ない事あるの?』
「急になんですか?」
『お掃除も完璧だし、お料理だってあんなに美味しいし』
お風呂に入った私たちは
ベットで
ゴロゴロしながらお話しタイム
緊張してやばいかも
なんて思ってたけど
なんだか意外とスムーズで
ちょっと居心地いいななんて思ってる自分もいて
こうやって
ベットでゴロゴロしてる今も
楽しくて仕方ない
修学旅行みたいな感じだねって言ったら
ちょっぴり嫌な顔されちゃったけど
「朝起きるの苦手です」
『えー。意外』
「そうですか?仕事の日なんて、朝からバタバタですよ」
『わあ!ちょっと見てみたいかも。ナナミンのお仕事の日の朝!バタバタしてるところ、くすくす笑いながらみたい』
あ、待って
そんな深い意味じゃなくてって言うか
ああ、何言ってるんだ私
とんでもない爆弾発言だぞ
いやいや、今からお泊まりするんだから
朝、一緒に迎えるんだけど
お仕事の日って
一言多いんだよ、わたし!
また泊まりきていい? って
遠回しに言ってるみたいじゃん
『•••あ、ごめん。深い意味はない、です』
なんだか恥ずかしくなっちゃって
枕に自分の顔を突っ伏しる
ああ、バカバカバカ
穴があったら入りたい
そんな私に
Aさんって優しく肩を叩くナナミンは
手を出してくださいって
ベットに腰掛けている
私も座り直して、両手を出すと
「素面では渡せないかと思ったんですが。早く渡したくなりました」
『•••かぎ、だ』
「はい、合鍵です。いつでも来てください。本当は同じ家に住みたいんですが、あなたのご両親に挨拶してからかと思い」
『•••律儀』
「当たり前です」
『•••大切にしてくれてありがとう』
「はい。私の命より大事です」
私のことを
優しく抱きしめてくれるナナミンの背中に
私もゆっくりと手を回す
心臓の音が心地良くて
私の場所はここだよ
間違ってないよ って教えてくれてるみたいで
安心する
Aさん
頭上から聞こえてくるナナミンの声は
ちょっぴり強張っていて
ん?って頭を傾けるわたし
「•••キスしていいですか?」
『••••••うん』
ナナミンとの初めてのキスは
すごく、すごく甘くて
なんだか、泣きそうになった
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作者名:すうぷ | 作成日時:2023年9月11日 21時