確信犯 ページ20
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「悟待ちかい?」
教室でひとりぼっち
携帯を触ってたら
私の席の前に座った、夏油くん
『少し待ってて、だって。硝子ちゃんはバイト行っちゃったの』
「じゃ、私も一緒に待っとくよ」
ありがとうって夏油くんを見ると
知らない子に貰ったんだって
ポッキーを私にくれた
『告白された子の間違いでしょ?』
「まさか。サッカーから帰ってきたら貰ったんだ。毒は入ってないと思うよ」
『•••怖いこと言わないでよ』
「冗談だよ(笑)」
本当にいいの?って聞く私に
甘いのは得意じゃないんだって苦笑いしてる
五条くんと並ぶ
モテ男、夏油くん
オラオラ系の五条くんより
優しさたっぷりの
夏油くんの方がファンクラブの会員が多いって
女子トイレで誰かが話してるのを耳にした
まあ、五条くんの場合
苦手なもの貰っても
いらねーよって突き放しそうだけど
とりあえず
一旦もらってくれる夏油くんは、優しい
いや、うん?
優しいんだけど
この胡散臭い笑顔の裏を知る人は
何人いるんだろう
「ひどいことを考えてるね、さては」
『まさか〜•••。夏油くんって、モテるでしょ?』
「モテるの、基準は何かな?」
『色んな女の子に告白されたり、とか?』
「それなら、Aも同じじゃないかい?」
『わたし?全くだよ』
「悟が牽制してるせいだよ、」
『へ?』
「それよりポッキー、美味しいかい?」
『あ、うん。いる?』
「じゃ、一本だけもらおうかな」
なんか話逸らされた気がするけど
目の前の夏油くんは
私の顔を見ながら
やっぱり、甘いのは苦手かなって
一本も食べ終わらないうちにそんなこと言ってる
『五条くんと、正反対だね』
「まあ、そうなるかな」
『五条くんは、甘いのしか好きじゃないもんね』
「Aのことも好きだけどね」
『え?!』
急に何を言い出す、夏油傑
びっくりしちゃって、むせちゃったよ
慌てて、お水を飲むと
少し申し訳なさそうにしながら
背中をさする、夏油くん
はあ、びっくりした
なんて思ってたら
「何してんだよ、傑」
めちゃくちゃ
ご機嫌斜めの五条くんは
ズカズカと私たちのところまで歩いてきて
「俺のだから、手出すな」
って
「ただ、話してただけだよ」
「Aに触るな。傑でもそれは許さねえ」
行くぞって
手を引っ張る五条くんに
すまないって
楽しそうに笑う夏油くんは
私に手を振って、ニヤニヤしてた
•••あれは、確信犯だ
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作者名:すうぷ | 作成日時:2024年2月26日 21時