もう ページ16
.
【外で待ってる】
バイトが終わって携帯見ると
五条くんからそんなライン
みんなにお疲れ様ですって言いながら
駆け足で外に出ると
驚いた顔をした五条くんは
私のところに駆け寄ってきた
『ごめん、お待た』
「なんだよ、その手」
『へ?•••あ、これ?』
私の右手を掴む五条くんは
険しい顔をしてて
ちょっとびっくり
『シフト一緒の子が、お皿割っちゃって。片付けてたら、少し切ったの』
「消毒は?した?病院いくぞ」
『いやいや、待って!大丈夫だよ』
大袈裟すぎるよ、五条くん
切ったって言っても
ほんの少しだし
絆創膏で十分
何もしなくても大丈夫なくらいだけど
店長が、念の為って
絆創膏ペタって貼ってくれたくらいで
五条くんに言われるまで
全然気づかないくらい
「大袈裟じゃねーよ」
『こんな傷で病院行けないよ』
「痛い?」
『ううん、へーき』
「本当に?」
『うん、』
そっかって
頷いた五条くんに
本当に平気って
顔を覗き込むと
お前には傷ひとつして欲しくないって
落ち込んでる五条くんに
本日二度目の驚き
『五条くんのせいじゃないし、このくらい大丈夫だよ?』
「このくらいじゃねーよ!本当にマジで。小さな怪我もすんな!約束な」
『•••まあ、守るように努力する』
「だめ。守れ。あと、階段も要注意、青信号だからって油断すんのもだめ。何より大事なのが、他人より自分優先な!」
『わかってるよ、大丈夫』
もう何回言われたか分からない
この、呪文のような言葉
何かに追われてるのかなっていうくらい
私に危険?って言っても
こんな、小さな傷とか
そんなレベルくらいなんだけど
ちょっとヘマしちゃうと
すぐ鬼の形相になるの
「•••俺は、Aがいないと無理だから」
『•••なんで私がいなくなる前提なの』
いつもいつも
五条くんは
見えない何かに
すごく恐怖を感じてる気がする
私がいなくなる前提で話をするし
すごく、悲しそうな顔をするんだ
「•••もう、もしもとか嫌なんだよ」
『大丈夫。私は、いなくならない』
「•••当たり前だろ。俺の前からいなくなったら、俺もすぐお前のとこ行くから」
『え?』
「•••んだよ」
『•••なんか聞き覚えがあるなって思って』
「は?まじ?聞こえてたの?」
『え?』
「•••いや、こっちの話」
よく分かんないけど
不思議な感じがした
「ほら、帰るぞ」
私たちって
昔、何かあったのかな?
.
437人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:すうぷ | 作成日時:2024年2月26日 21時