Goodbye Summer ── 初恋 ── (ページ10)

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…

『じゃ！二人とも、頑張って！』

それから先生が教室に入ってくると、今日の予定が伝えられて、体育祭の練習が始まった。君とは外に出たところで別れて、俺はユリカと校庭へ。

『ギョンスヤー！ユリカちゃーん！おはよ！』

『あ、おはよー』

校庭に出るとユリカ目当ての留学生に囲まれて、俺は余裕なふりして彼女の隣を歩く。自慢気な顔をしてしまいそうだから、それを隠そうと鼻の下を擦ってみたりして。

『今日も＄■◇％※▽§％￡◎●◎☆＃、すぐに先生達に言うように！では、練習始めまーす！』

先生の号令がかかると、体育祭の練習が始まった。色々と種目があって、クラス一丸となってやるもの、男女別のもの、必ず男女ペアでやるものもある。そして、男子の花形はクラス対抗リレーらしい。

『ジヨルはリレー出るってさ』

『あのイケメンは日本でも通用するんだな(笑)』

そんな話を聞いたのは、昼休みになった時。でもジヨルなら出なよって言われそうだから、驚きはなかった。

『ギョンスくん！教室に戻るよー』

『あ、はい！──じゃ、またあとで』

ユリカに呼ばれ、優越感に包まれながら二人で教室へ。

……えっ、なにしてんの…！

すると教室に着いて目に飛び込んできた光景に、俺は目を丸くした。給食用に机を並べ替えている生徒達の中に君の姿があったのだ。松葉杖は面倒になったのか、片足で移動している。

『Aは、座っていてください』

俺は急いで教室に入って、君が動かそうとしてる机を正面から掴んだ。安静にしていなきゃいけないのは、このクラスの誰よりも俺が分かっているから。

『だーい丈夫だよ』

前にもそう言った後、松葉杖でつまずいた君。俺はそれをうまく日本語で言えそうに無かったから、もう一度目で訴えて君から机を引き取った。

『大丈夫なのに』

まだそう言う君に、俺は知る限り場面に合う日本語で言う。

『無理は、末路、大変です』

すると君は、ハッとしたように眉を上げて俺を見た。そして、感心したように笑顔で頷きながら席へ。俺の言いたいことは伝わったようだ。

……悪化してないと良いけど

『ギョンスくん、私もやるよ』

『……ぁ、はい』

するといつの間にか

俺の隣に天使の笑顔が。

不意だったからか、これまでより近く感じて、俺は鈍い返事をして顔を逸らした。