Goodbye Summer ── 初恋 ── (ページ4)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:5,241 hit

４ページ4

…

……何かあったのかな…？

推測していると、電話を終えたお父さんが、ジェスチャーを交えて簡単に説明してくれた。

……えっ…

俺のバディーが

怪我をしたらしい。

試合中の出来事とのこと。でも幸い、軽い怪我のようだ。

『可哀想に。あーぁ』

お兄さんは、残念そうに言う。

その理由は

俺も分かる。

明後日から、全学年で体育祭の練習に入る。この地域の風習なのか、夏休みが明けて２週間後に体育祭。この留学の半分は、勉強そこそこでジャージを着て過ごす。試験に追われず一大イベントに参加出来るとあって、俺達留学生も楽しみにしていた。

その一大イベントを前に

俺のバディーは怪我をしたのだ。

……出れるのかな…

心配していると

『練習、☆％￠からだな(笑)』

少し意地悪に言うお兄さん。

俺が首を傾げると、言い換えて教えてくれた。

……そう、なんだ(笑)

俺のバディーは

サボり魔

というやつらしい。

部活の朝練には行かないし、週末も自主練はほぼしないらしい。なのに、スタメンで活躍するくらいの天才肌なんだとか。でも、何事にもやる気にムラがあって、勉強も教科や単元によって成績の差が激しいらしい。

『──ま、日頃の行い、だな(笑)』

最後に知ってる言葉で締められた

バディーの事。

……そんな、感じなんだ(笑)

友達が勝手に羨ましがっていたバディー像とは、多分かなりかけ離れているだろう。話を聞く限り、運動神経は良いけど、普通の子だろうから。

でも、俺にはその方が良い。

『おやすみなさい』

色々話していると、気付けば21時近く。明日は学校初日だし、俺はバディーが帰宅する前に休むことになった。風呂に入って、明日の用意を鞄に詰め込む。そして最後に、今日の日誌を付けていると

『ただいまー』

……！

急にやってきた対面の時。

……挨拶しないと！

少し緊張しながら

俺はゆっくりと部屋から顔を出した。

……ぇ…

すると視界に入った

こちらに背を向けて玄関に座る

ジャージ姿の女の子。

…怪我って…

その隣にある物に驚いた。

足をくじいたくらいだと思っていたのに

まさかの松葉杖で帰って来たのだ。

……！

すると俺が驚いているうちに

立ち上がり始めた彼女。

『ぃしょっと…あ、』

ﾄﾞｸﾝ…

『あ、どうも、Aです』

初めてだった。

目が合った瞬間

言葉が出て来ないなんて。