Goodbye Summer ── 初恋 ── (ページ13)

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…

『──週末はどこに行くの？』

初めての自転車通学は、行きと帰りでずいぶんと景色が違って見えた。

『そうなの？！そこに行ったらね、絶対に食べてもらいたいものがあるの！──』

人が追加される度に下らない事で盛り上がっていた登校。それとはうって変わって、やっぱり俺はまだ話を上手く膨らませずに居た。

『ギョンスくん、兄弟は、居る？』

『兄が、います。ユリカは？』

『私はヒトリッコなの。兄弟は、いないよ』

……あ、居ないんだ。下に居そうなのに

言葉で返せば良いことも、日本語だといつも以上に心の内で終わらせてしまっている。

『──じゃあ、またね。ギョンスくん』

結局、相槌を打つばかりでユリカの家に着いてしまった。

『また明日』

西洋風の家に彼女が入るのを見届けると、家路についた。１人で通る通学路も、また景色が違う。

『おかえりー。腹減ってる？』

今日はお兄さんが先に帰ってきていて、俺が来たのが分かるとすぐに台所へ。料理をするのがかなり好きらしい。俺も荷物を置いてから一緒に隣に立った。

『ケンジが行きで、帰りがユリカちゃん？(笑) ギョンス、お前ケンジにシットされるぞ(笑)』

『シット？』

今日のことを話していると、ケンジとユリカで急に声色がニヤニヤし始めたお兄さん。

『たっだいまー。……お、マシッケッター！』

そこに君が帰ってきた。

『何だそれ。マシケタ？』

君が言った言葉にお兄さんが反応。俺が意味を伝えると納得していた。

『え、じゃあ、いただきますは？』

ついでに聞かれたのも教えると、お兄さんはバディーって面白そうって言いながら料理に戻った。

……誰に教わったんだろう

ふと湧いた疑問。でも君は意外と留学生と話してるみたいだから、答えを出すまでもなく消えていった。

『じゃ、バイト行ってきまーす』

それからお兄さんはバイトへ。夕食も食べ終わり、寝る前の落ち着いた時間がやってきた。

『あ、A。単語、聞いて良いですか？』

『うん。あ、ちょっと待ってね、付箋が──』

今日は学校で君と話す機会がほとんど無くて、溜め込んだ単語を君に聞く。

『──あぁ、嫉妬。分かりました(笑)』

『え、何？何で笑ってるの？(笑)』

君も気付いてるのかもしれないけど、俺の口から言うことじゃない。

『ダメです。秘密です(笑)』

『けちー(笑)』

『ケチ、って何ですか？(笑)』

別の単語で話を逸らした。