Goodbye Summer ── 初恋 ── (ページ2)

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『到着したら、ホストファミリーに合流して解散！明日はそれぞれ登校して来るように！』

中学二年の８月末。

外国語教育に力を入れているウチの中学は、二年生での短期留学が必修になっていた。英中日で各コースがあり、一番人数が少ないのがこの日本語コース。一クラスしかない。でも学年が上がっても顔触れは変わらないから、クラスの仲は一番良かった。

『本当に何もないね』

地域で一番大きい空港から１時間ほど。バスから見える景色に緑が増えてきて、セミの声もいつの間にか聞こえるようになった。

『キャンプまじで出来るかもよ！』

ソウル市街からやってきた俺達には、同じ都会を見るより何倍もワクワクさせる光景。

『そろそろ着くから準備しろよー』

担任の声が響くと、俺達は目を輝かせながら支度を始めた。さっきより深くなった緑。こんなに自然豊かな所に住むと思うと、心臓は高鳴る。

『わ！思ってたよりデカイんだけど！』

『校庭ひろっ！！』

『…あ！みんな…！』

そして遂にその全貌が見えて敷地内に入ると、俺達の興奮は一点に集中した。広い駐車場に待ち構えていたのは、これから１ヶ月お世話になる人達。バディーとホストファミリーだ。

『コンニチハー！』

人懐っこい奴らは、バスから降りてすぐに大声で挨拶。他は恥ずかしさからか、会釈だけしていた。

『全員で挨拶するぞー』

そして担任の号令があって、やっと正式に対面。点呼と同時に、合流が始まった。全員の表情にドキドキが見てとれる。プロフィールだけ知っていたバディーが、この時初めて分かるからだ。

俺はそのドキドキが、人一倍大きい。

留学中、相棒になる “バディー” と呼ばれる生徒。通常は、同性が選ばれる。でも俺だけは違った。元々俺が行くはずだった家は、工事が入ることになって急遽キャンセル。１週間前でOKしてくれたのが、これから対面する家族だったのだ。

『ド・ギョンス』

半分が合流したところで、俺が呼ばれた。跳び跳ねる俺の心臓。返事をして担任の隣に進む。続いて日本語で先生が言うと、向かいの集団の一人が手を挙げた。俺はそちらを向く。羨ましいと言っていた、クラスの男達も注目した。

……あれ…？

俺はスーツケースを引いて

挙手の元に向かう。

『こんにちは。ギョンス君。よろしくね』

『こ、こちらそこ、宜しくお願いします。…』

俺のところだけだった。

バディーが迎えに来なかったのは。

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