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...
普通に飲み出しちゃったけど、この人なんで来たんだっけ。
「あっ!そうじゃん!メガネだ!」
「欲しいならやるよ。」
「えーそんなあっさりな感じ?家まで来る必要あった?」
「...あった。てかさー、なんかいろいろ変わってなさすぎてうける。あのディフューザー好きすぎだし、このソファーどこで買ったか当てれる自信あるわ、俺。」
ソファーをポンポンと叩きながら笑っている。
なぜだか急に恥ずかしくて...、
丸裸にされたような気分。
もうやめてよ。って小さく否定する事しか出来なかった。
どれだけ時間が経ったって好きなものは変わらないし、大事なものだってそう簡単には変わらない。
「そういうとこいいと思うよ。」
そうやっていつも私を認めてくれて、優しく包み込むような大きな愛をたくさんくれてたよね。
そういうとこ大好きだったよ。
だから彼女のこと大事にしてあげて?
元カノの家に遊びに行くような男じゃないでしょ?
「...もう帰りなよ。彼女、心配してるんじゃない?」
「...彼女じゃない。」
「違うの?電話出ちゃうくらいなのに?」
「彼女でも普通勝手に出ないだろ。」
「そりゃそうだけど、」
「とりあえず彼女じゃないし、てか彼女いないんだわ。勘違いしてほしくなくてそれ言いに来た。」
真っ直ぐ私を見つめる瞳。
時間が止まったみたいに逸らすことが出来ない。
どうして?なんで?
なんて聞いちゃいけない。
「そっかそっかー。まぁ、恋愛だけが全てじゃないしお互い30代楽しもうー!」
かんぱーい!ってグラスを上げると、ほんとずるいやつ。って言いながら同じようにグラスを持って笑っていた。
くだらないこと話して、楽しくてしょうがない夜だった。
私ね、ときどき思ってたことがあるの。
出逢ったころからすぐに感じた安心感とか、
言葉にして伝えるのがヘタクソな所とか、
片方だけできるえくぼ、
箸の持ち方、
言い出したらキリがないくらい同じところがいっぱいあって。
何かの間違いで別々に産まれてきたけど、私たちもしかしたら本当は1つの命だったんじゃないかなって。
そんなわけないのに、そんなふうに思ってた。
だから、誰といても何をしてても不完全だと感じていた自分に納得してたんだ。
眠ってしまった彼に触れたいと思うのも、きっと自然なことなんだ。
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あお(プロフ) - meguさん» ご丁寧にありがとうございます。meguさんはとっても嬉しいお方ですね。そんな方に読んでいただけて嬉しいです。今後もよろしくお願いします。 (2021年2月6日 4時) (レス) id: e7291e172f (このIDを非表示/違反報告)
megu(プロフ) - 誤解をさせてしまったら申し訳ありません。更新のスピードは気にしていません。それよりお話の内容の方が大切ですから。久しぶりにドキドキする、大好きだなと思える小説に出会えました。本当にありがとうございます。あおさんのペースで書いてくださいね。 (2021年1月19日 18時) (レス) id: f00810db22 (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - meguさん» コメントありがとうございます。そんな風に言っていただけるなんて嬉しくて泣いちゃいそうです。更新の遅さは本当にごめんなさい...。頑張りますのでお付き合いいただけたら幸いです。 (2021年1月19日 17時) (レス) id: e7291e172f (このIDを非表示/違反報告)
megu(プロフ) - 更新が遅かったとしても、読んだらそんなこと忘れてしまうくらい切なくて苦しくて、でもきゅんとする素敵な作品をありがとうございます。最後まで大切に読ませていただきます。登坂さんをこんなに素敵に描いてくださること、とても嬉しいです… (2021年1月19日 2時) (レス) id: f00810db22 (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - ユキさん» こちらこそありがとうございます。全然更新出来なくて本当に申し訳ないです。 (2020年10月26日 16時) (レス) id: 652c381dd6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あお | 作成日時:2020年6月22日 12時