Only Holy Story ２

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...





「やば、忘れてた。」

メガネ、そのままかけて来ちゃったよ。
家に帰ってから気づくとか私大丈夫かな？
携帯で広臣の番号を探しながら、ふと頭に浮かんだのは直人さんの事。
元気なかった気がするんだよね。
顔腫れてるの突っ込まれるかなって思ったけど、メガネ似合ってんじゃん。って一言だけ。
疲れてたのかな？
しばらく会わないから後で連絡してみよう。そう思いながら広臣に電話をかけた。

「もしもし。」

コールが止んだと同時に聞こえたのは女性の声。

「もしもーし。」

あれっ、間違えた？
画面を確認してみるけど、ちゃんと登坂広臣って出てる。
プチパニックな私。

「あっ、すみません、登坂さんの携帯ですよね？」
「そうですけど。どちら様？」
「私、スタッフのAと申します。登坂さんに代わっていただけますか？」
「嘘ですよね？」
「はい？」
「スタッフとか嘘ですよね？」

何この人。
会話出来ないの？
顔も名前も知らないけど、イラついて来たかも。
そもそも人の携帯出るってどうなの。
勝手に出ちゃう系女子良くないと思うよ。

「用事があるなら伝えとくんで言ってください。」
「いいえ、結構です。失礼しました。」

通話終了。
たぶん、たぶんね、想像でしかないけど今のはきっと彼女だろう。
あの人が私の名前をなんて登録しているかはわからないけど、女から電話だと思った彼女が出ちゃったってことでしょ。

これは私の理想論だけど...、
なんとなく、彼にはもっといい恋愛をしていてほしかったな。
じゃないと私が選んだ道に意味がなくなっちゃう。
まぁ、なんか事情があったのかもしれないし、人の事とやかく言える立場じゃないから忘れよう。
メガネは貰っちゃえ！
ビール飲んじゃえ！



飲みながらSNSのチェックをしていると着信画面に切り替わった。
登坂広臣と表示された画面をしばらく見つめる。
本人？また彼女？

「...はい。」
「A？ごめん、どした？」

焦った彼の声に少しほっとした。

「んー、なんでもない。」
「はっ？」
「ごめん、メガネかけたまま帰っちゃったから...、」
「あ、そっか。普通に忘れてたわ。」
「ねー、これ貰っていい？てか貰うからね！彼女恐いからもう切るよ。」
「...今、家？１人？」
「そうだけど。」
「取り行くわ。住所送っといて。」

返事をする前に切られた。
ん？
今から来るの？
いやいや、それはだめでしょ！
え、だめだよね？
私の大きすぎる独り言が部屋に響いていた。





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